#音楽レビュー

ケルン放送響とドレスデン国立管のR.シュトラウス

今日の午後は、R.シュトラウスの「英雄の生涯」(ビシュコフ・ケルン放送響)と「ツァラトゥストラ」(シノーポリ・ドレスデン国立管弦楽団)を聴いていた。 いずれも1998年の来日公演の記録だが、こうした続けて聴くと、ドレスデン国立管が圧倒的に上手。管…

上岡敏之・新日本フィル  ブルックナー第九

(昨年のコンサートの備忘録です) この週末の新日フィルのブルックナー演奏会。第九交響曲の第三楽章のアダージョ、ブルックナーの完成した最後の音楽ですが、素晴らしかった! 冒頭の弦の跳躍する主題の微かなポルタメント、そして第二主題の出てくる直前…

リヒタ―のバッハ・マタイ受難曲

大学の教養課程のドイツ語の授業で、バッハのマタイの解説本を読むというシュールな授業があった。レクラム文庫の本。中身はいかにもドイツの学者らしく、このフルートの下降音型はイエスの涙が溢れ落ちる様を描写したものであるとか、そういう記述が延々と…

マリナーのモーツァルト

映画「アマデウス」の中で流れるモーツァルトの音楽(いわゆるサントラ)を一手に担っていたマリナーは、ベームやカラヤンみたいな大巨匠ではなかったかもしれないけど、本当に素晴らしいMozartianだったと思う。 この40番など本当に絶品。特に木管が普通…

ファーウェイのAIが完成させた未完成交響曲

ファーウェイのAIが完成させた未完成交響曲。 具体的にどういう手法でやったのか分からないが、何となく、機械学習に与えたサンプルがシューベルト以降の音楽、ワーグナーの初期とかベルリオーズあたりの音楽、さらに言えばハリウッドの映画音楽みたいなもの…

今年6月2日の三舩優子さんのコンサート

(今年6月2日の演奏会記録) 三舩優子さんの三十周年記念コンサートに行ってきました。テーマは巡礼。リストの巡礼の年の第一年スイス、第二年イタリアの全曲という超豪華なプログラム。 もちろんこの作曲家ならではの超絶技巧が怒涛の連続ですが、全部聴き…

上岡敏之・新日本フィル ブルックナー第九

昨年秋に行われた上岡敏之・新日フィルのブルックナーの第九交響曲の演奏会のライブCDが出ている。 二度行われた演奏会のうち、横浜みなとみらいホールの方には出かけたが、素晴らしく感動的な第三楽章と、どこかピンと来ない第一楽章とで、少し微妙な印象だ…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「ジークフリート」(1953年)

今年2周目の「ニーベルングの指環」(フルトヴェングラー・ローマ放送響)の続き。「ワルキューレ」と経て「ジークフリート」の第二幕の終わりまで来た。 「ジークフリート」は、通常「ワルキューレ」に比べると少し人気が落ちると思うが、どうして、若さと…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「ワルキューレ」(1953年)

さっき聴き終えた「ワルキューレ」第一幕(Furtwaengler/RAI)の後半は、ジークムントとジークリンデの有名な愛の二重唱だが、単純に男女が会って「愛」が芽生えたというよりは、それぞれ長くつらい「冬」の時代を経て、とうとう「春」が訪れたというもの。 二…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「リング」(1953年)

今日もしつこく「ニーベルングの指輪」。 今度は、1953年のローマ放送のオーケストラと放送用に録音したフルトヴェングラーの二番目の録音。これは、昔、ミュンヘンに住んでいたときに200マルク(1万4000円)くらいで買った。当時としては痛い出費だったが「…

フルトヴェングラー・スカラ座「神々の黄昏」第二幕、第三幕(1950年)

昨日の続きで、「神々の黄昏」の第二幕、第三幕を聴く。1950年のフルトヴェングラー・スカラ座のライブ。 やっぱりフラグスタートの歌唱が凄い。第二幕で、裏切りに激高して復讐を誓う場面は、この長い四部作の中でもとりたてて魅力的でない部分だけど、…

フルトヴェングラー・スカラ座「神々の黄昏」序幕 (1950年)

今日は、昨日の続きで「神々の黄昏」の序幕を聴いている。序幕の中の「夜明けとジークフリートのラインの旅」は、高校時代から特別な愛着を感じ、繰り返し聴いてきた場面である。 特に冒頭の空が微かにピンクに色づき始め、それが次第に力を増して、最後には…

フルトヴェングラー・スカラ座の「ジークフリート」(1950年)

いろいろな用務の間に1950年のフルトヴェングラー・スカラ座の「ジークフリート」を聴いていたが、ブリュンヒルデを歌うフラグスタートが凄かった。特に、第三幕の大詰め、Mir strahlt zur Stunde Siegfriedes Stern-----(今は(神々の栄光でもワルハラの威…

楽劇「ジークフリート」 森の小鳥の声

ワーグナーのオペラ「ジークフリート」。この4時間余りの長い長い劇の中でも、一番好きなセリフは第二幕の終わりのこれ: <森の小鳥の声> つらい時でも朗らかに、ぼくが歌うは愛の歌・・・ 心をふさぐ嘆きから、ぼくが紡ぐは歓びの歌・・・ ただ憧れる者…

フルトヴェングラー・スカラ座の「ワルキューレ」

今日はフルトヴェングラー・ミラノスカラ座の録音で、「ワルキューレ」の第三幕を聴いた。 この楽劇を実演でよく観ていた二十代の独身の頃は、明らかにジークムントとジークリンデという若いペアに感情移入があって、二人が禁断の愛を燃え上がらせる第一幕と…

マゼール・バイロイトの「リング」(1969年)

オペラファン、それも古いものが好きな人には良いオンラインショップを発見。 きっかけは、マゼールのバイロイトでの「リング」。今から20年以上も前、日本で1968年の公演の録音が一瞬市場に出たが、その後は再発売がないため、ヤフオク等で結構高値で売ら…

カラヤンのジュピター交響曲(1957年)

オーストリア放送の1957年のザルツブルク音楽祭でのカラヤンの演奏会の記録から、モーツァルトのジュピター交響曲のフィナーレ。全身の毛穴から精気が噴出しているような凄まじい気迫。この楽章の演奏としておそらく世界最速の5分56秒。カラヤンは当時49歳。…

ブルックナー 第四番の名盤   上岡、ヨッフム、朝比奈、クナッパーツブッシュ

上岡敏之さんのブルックナー。先日、第七番について先日書いたが、第四番も同じヴッパタール交響楽団との録音が出ている。http://www.octavia.co.jp/shop/exton/005870.html 第四番は、第七番に比べると正直中身がそれほどしっかり詰まっている音楽ではない…

ギュンター・ヴァント  90年代の 巨匠

15年前くらいに亡くなったギュンター・ヴァントというドイツの指揮者がいる。90年代半ばからその死までの数年間ほとんど「神格化」された存在になっていたが、80年代までは、堅実だが地味なドイツの中堅(といっても70歳を超えていたが)という感じ…

ヨッフム  最晩年のブルックナー第七番

ドイツの巨匠ヨッフムが晩年の80年代にアムステルダム・コンセルトヘボーとともに来日したときのブルックナーの第七番の公演。大河のように滔々と流れる名演。当時高校生だったが、FM放送を聴いて圧倒されたのを覚えている(今も手元に録音テープがある)。 …

上岡敏之指揮、新日本フィルのマーラー第五番ほかの演奏会(2017年9月、横浜)

2年前の9月のコンサートの備忘記事。 ベートーヴェンの四番のピアノ協奏曲とマーラーの5番というプログラム。 上岡さんは、かなり以前に年末恒例のN響第九を振っているのをテレビで聴いて、何というのか、テレビの画面からくっきり音楽が浮かび上がるよう…

バーンスタイン ウィーンフィルのマーラー6番

若い頃に好きだったものに接して当時と変わらぬ思いが沸き起こるのを確認すると、毎日慌ただしくしていても、自分が昔の自分から変わっていないことが確認できてホッとする。 その一つが80年代のバーンスタイン、ウィーンフィルのマーラー6番のライブ録音…

ヴォツェック  2017.12.10

久しぶりにヴォツェックを聴いた。20世紀の産んだ、壮絶で陰惨なオペラ。メサイアの至福にのみ浸っていられない、神も調性も無くなった後の時代に生きることが幸か不幸か分からないが、この音楽の持つ凄惨な美しさは全く独自の魔力を持っていて、一度味わう…

N響レジェンド マタチッチ 2017.12.10

昨晩、ユーゴの巨人マタチッチを迎えたメサイアの古い録音の前半をやっていた。過度に分厚すぎることもないが、充実したバスの響きに支えられた、至福のヘンデル。50年以上前のライブだが、録音の質を別として、メサイアの演奏としては個人的にはこれ以上望…

はじめまして

音楽を聴くのが好きで、聴くといろいろなことを感じたり、考えることもあるが、書き留めておかないとすぐに忘れてしまう。何年か振りに同じ音楽を聴いて、同じことを考えたのをふと思い出したりする。我ながら進歩がないことである。忘れてしまうということ…