ワーグナー

パルジファルと事業再生

イースター。昔、ドイツで何年か過ごした頃、厳しい冬を超えて、日が長くなってきた頃のイースターの喜びはひときわで、以来日本にいてもこの時期はワクワクする。 イースターといえばパルジファル。ドイツ語圏ではこの時期に上演されることが多いので、日本…

ヱヴァンゲリヲン(新劇場版)とワーグナー

ここのところ、俄か「エヴァンゲリオン」ファンとなっていたが、今日、ようやく新劇場版4部作を見終わった。 繰り返しになるが、俄かファンなので、この複雑なストーリーを理解できたわけでは全くないが、自分が子供だった頃のアニメ(オリジナル・ガンダム…

2022年 バイロイト音楽祭

年末恒例のNHK-FMでの夏のバイロイト音楽祭のライブ録音放送。 以前に比べてバイエルン放送による録音が著しく改善していて解像度が高く素晴らしい音! 「神々の黄昏」を部分的に飛ばし聴きしたが、インキネンの替わりに登板したマイスターの指揮するオーケ…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「神々の黄昏」第三幕(1952年)

1952年のフルトヴェングラーとローマ放送響の「神々の黄昏」第三幕。有名な1953年の指輪全曲録音のきっかけとなった演奏会の記録を聴いた。 途中までは緩い部分も多いが、大詰めのフラグスタートによるブリュンヒルデの自己犠牲はさすが。北欧の鋼鉄の声とい…

レヴァイン・バイロイト ジークフリート第三幕

先日の続きで、ジークフリートの第三幕を聴いた。 冒頭のヴォータンとジークフリートの出会いの場面は、盛りを超えつつある中年あるいは初老の権力者と力を付けつつある若者の関係、あるいは父と息子の関係という意味で、普遍的なテーマだと思う。 我が国で…

レヴァイン・バイロイト ワルキューレ・ジークフリート

90年代半ばにFM放送で録音したレヴァイン指揮のバイロイトのワルキューレと、ジークフリートを途中まで聴いた。 レヴァインのはテンポがかなり遅く、良く言えば大らか、悪く言えば緩い印象を持っていたが、オーケストラは昔の巨匠のもののように巨大ではな…

アルバン・ベルク 歌曲全集

最近Brilliant Classicsから出た、アルバン・ベルクの歌曲全集がよい。 特に、長らくあまり知られていなかった初期の歌曲(Jugendlieder)が初めて全曲録音されたということだが、これが1901~1908年の間で74曲あり、いずれも1~2分の大変短い曲ばかりである…

ウィーン国立歌劇場ストリーミング 神々の黄昏

ウィーン国立歌劇場も無料ストリーミングが開放されていて、コロナ禍で中止となった演目の過去公演記録を流している。 今日は神々の黄昏が見れる。ジークフリートはグールド、ブリュンヒルがテオリン、指揮者はアクセル・コ―バーという人。 さすがに長いので…

映画ボヘミアン・ラプソディ―のあらすじへの荒唐無稽な感想(パルジファルと似てない?)

DVDになった「ボヘミアン・ラブソディ」をようやく観た。クィーンの曲はあまり聴いたことはなかったが、メロディアスで和声も美しい歌につぐ歌を楽しむとともに、俗な言い方だが天命を悟った後の主人公の生き方に普通に感動した。あわせて、しばらく前に…

ブニアティシビリ・上岡敏之・新日本フィル チャイコフスキー・ピアノ協奏曲(2017年11月17日)

(2017年11月17日の演奏会備忘) 上岡敏之・新日本フィルとの演奏会。ブニアティシビリはチャイコフスキーのピアノ協奏曲で登場するが、チャイコフスキーを挟んだ前後が、ベックリンの有名な絵画「死の島」をモチーフとした2つの作品。冒頭がラフマニノフの…

「神々の黄昏」序章と第一幕  クナッパーツブッシュ・バイロイト(1958年)

大晦日の今日はクナッパーツブッシュの「神々の黄昏」。 いつも感じるのが、クナの指揮するワーグナーの独特の響き。圧倒的に分厚い低音の上にどっしりと構築された音。豊饒だが、カラヤン・ベルリンフィルやオーマンディ・フィラデルフィアのように磨き上げ…

マリア・カラスのクンドリ

先日、マリア・カラスのイゾルデを紹介したが、なんとカラスのクンドリという恐ろしいものが録音で残っているらしい。録音が随分悪いらしいのでただちに購入するのは躊躇われるが、試しにちょっと聴いてみたい。 https://tower.jp/item/4607873/%E3%83%AF%E3…

映画「パルジファル」(1982年)

1982年製作の映画版「パルジファル」を見た。本作で特筆すべきは、事前に録音された音楽にあわせて、歌手とは異なる俳優が演技をしていること。近年は、大昔のワーグナー歌手のように声は立派だが、容貌はちょっとという人は減っているが、こういう映画だと…

Naopingさんのブログ: フルトヴェングラー:スカラ座のワルキューレ

しばらく前にこの録音を聴いていましたが、"弦が泣き狂う"とは、全くうまいことを言うもんだと。 この方のブログ、文章もうまいし、内容も素晴らしいと思う。 ネット時代の恩恵で、いろいろな人の感想を読むのも楽しいもの。 http://naoping.cocolog-nifty.c…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「神々の黄昏」(1953年)

本年2周目の「ニーベルングの指環」(フルトヴェングラー・ローマ放送響)を聴き終えた。 今日は、「神々の黄昏」の第3幕の後半、非業の死を遂げたジークフリートの遺体がギービッヒ家の屋敷に戻ってきた後の場面。 ジークフリートの死をめぐって生じるギ…

フルトヴェングラー・ローマ放送響 「ジークフリート」「神々の黄昏」(1953年)

今日は、フルトヴェングラー・ローマ放送響の「指輪」の続き。「ジークフリート」の3幕の終わりと「神々の黄昏」の序幕と一幕の途中までを聴いた。 「ジークフリート」の第三幕では、ブリュンヒルデは、アンドロギュノス的な女神であり、抱擁に戸惑う乙女で…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「ジークフリート」(1953年)

今年2周目の「ニーベルングの指環」(フルトヴェングラー・ローマ放送響)の続き。「ワルキューレ」と経て「ジークフリート」の第二幕の終わりまで来た。 「ジークフリート」は、通常「ワルキューレ」に比べると少し人気が落ちると思うが、どうして、若さと…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「ワルキューレ」(1953年)

さっき聴き終えた「ワルキューレ」第一幕(Furtwaengler/RAI)の後半は、ジークムントとジークリンデの有名な愛の二重唱だが、単純に男女が会って「愛」が芽生えたというよりは、それぞれ長くつらい「冬」の時代を経て、とうとう「春」が訪れたというもの。 二…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「リング」(1953年)

今日もしつこく「ニーベルングの指輪」。 今度は、1953年のローマ放送のオーケストラと放送用に録音したフルトヴェングラーの二番目の録音。これは、昔、ミュンヘンに住んでいたときに200マルク(1万4000円)くらいで買った。当時としては痛い出費だったが「…

フルトヴェングラー・スカラ座「神々の黄昏」第二幕、第三幕(1950年)

昨日の続きで、「神々の黄昏」の第二幕、第三幕を聴く。1950年のフルトヴェングラー・スカラ座のライブ。 やっぱりフラグスタートの歌唱が凄い。第二幕で、裏切りに激高して復讐を誓う場面は、この長い四部作の中でもとりたてて魅力的でない部分だけど、…

フルトヴェングラー・スカラ座「神々の黄昏」序幕 (1950年)

今日は、昨日の続きで「神々の黄昏」の序幕を聴いている。序幕の中の「夜明けとジークフリートのラインの旅」は、高校時代から特別な愛着を感じ、繰り返し聴いてきた場面である。 特に冒頭の空が微かにピンクに色づき始め、それが次第に力を増して、最後には…

フルトヴェングラー・スカラ座の「ジークフリート」(1950年)

いろいろな用務の間に1950年のフルトヴェングラー・スカラ座の「ジークフリート」を聴いていたが、ブリュンヒルデを歌うフラグスタートが凄かった。特に、第三幕の大詰め、Mir strahlt zur Stunde Siegfriedes Stern-----(今は(神々の栄光でもワルハラの威…

フルトヴェングラー リング  2017.11.12

昨日行ったコンサートのアンコールで、期せずして「ジークフリートの葬送行進曲」を聴いたことで、ワーグナー欲?が久々にむらむらと刺激されて、家族が出かけている昼の間、「ニーベルングの指輪」から拾い聴きをした。「ジークフリート」第3幕の大詰めと…

~ Fallen Angel(堕天使)~

先日、しきりにFallen Angel(堕天使)という言葉がでてくる会議があった。無味乾燥な用語(と中身)の多い金融関係の会議の中では珍しく「えっ」と耳をそばだてたくなる。その時のテーマは保険会社の資産運用だったが、要は、投資適格から投資不適格に滑り…

フルトヴェングラーのジークフリートの葬送行進曲

すべて60年以上前の古いものであるにもかかわらず、フルトヴェングラーの幾つかの録音は今でも魔力的としか言いようのない独特の魅力を持っていると思う。たとえば、1954年にウィーンフィルと入れたワーグナーの葬送行進曲のスタジオ録音。 以下のYoutubeで…

ピアノ2台版の「イゾルデの愛の死」

イゾルデの愛の死を2台のピアノでやっているなんとも素敵な編曲、素敵な演奏! この曲は、ソロピアノでやるときは、さすがにアクロバティックな面が前面にでてしまいますが、2台のピアノでやると、二人とも余裕が出てくるせいでしょうか、細かなところまで…

マインツでの「パルジファル」

フランクフルト近郊のマインツの劇場での「パルジファル」。こんな小さな都市の劇場で超ヘビー級の作品に取り組んでいるところがさすがドイツ。舞台はさすがにお金がないのか、小学校の学芸会みたいな舞台で、クンドリーもなんだかそれこそPTAのお母さんみた…

マゼール追悼

マゼールへの追悼の言葉を書き込むページがオープンしています。ご遺族にもわたるようです。マゼールは、私のドイツ滞在当時、バイエル放送の交響楽団の音楽監督で、シーズン中は2週間に1回は開かれる定期演奏会をせっせと聴きに行っていました。決して全…

「ニーベルングの指輪」(カール・ベーム、バイロイト)

ここしばらく、通勤途上に、ベームの「指輪」を聴いている。片道30分程度なので、二週間で四部作全部が聴く計算になる。 ベームの「指輪」をじっくり聴くのは、中高時代以来、約30年ぶりになるが、細部に至るまで、当時の記憶と感動がよみがえってくるよ…