上岡敏之・新日本フィル  ブルックナー第九

 

(昨年のコンサートの備忘録です)

 

この週末の新日フィルのブルックナー演奏会。第九交響曲の第三楽章のアダージョブルックナーの完成した最後の音楽ですが、素晴らしかった! 冒頭の弦の跳躍する主題の微かなポルタメント、そして第二主題の出てくる直前までの金管による晩秋のドイツの厳しくも美しい夕暮のような和声の進行。絵画で言えば、ムンクの絵に出てくる夕暮れ空の色合いというか。これがあるから、19世紀末のドイツ語圏の音楽を聴くのをやめられないのですが、さすが上岡・新日フィル、しっかり堪能させてくれました。

実は第一楽章は何故か精彩を欠き、第二楽章は曲の持つグロテスクさが全開で、ある意味、上岡シェフの面目洋々であるものの、そこまでの演奏からして第三楽章にはそれほど期待もしていなかったのです。第二楽章の後、第九交響曲の後に続けて演奏されるテ・デウムのための合唱団が入場する間があったのですが、その後、始まった第三楽章が突然物凄い名演になったわけで、ライブというものは面白いものです。

テ・デウムは、新国立の合唱団がある意味オペラっぽい迫力ある合唱を見せていました。宗教音楽風に完成度を求めるなら、いろいろあるでしょうが、バッハのようにプロテスタント的にあまり禁欲的に極めなくとも良い種類の音楽とも思います。


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