ニューヨークMETのフラグスタート

ニューヨークMETのロビーの地下にある「歴代、METに出演してきた音楽家の肖像・胸像」コーナー中のキルステン・フラグスタートの肖像。

20世紀前半の不世出のワーグナー・ソプラノとして名高いが、残念ながら、完全に盛りを過ぎた1952年のフルトヴェングラーの「トリスタンとイゾルデ」の録音(「高音」が出ないため、その部分だけ編集で一部にシュヴァルツコップの声を貼り付けたとかいう逸話すらある)でしか聴いたことがないため、どことなくババ臭いイメージ(失礼)しかなかった。この若々しくて綺麗な肖像画にはびっくり。これでイゾルデとかブリュンヒルでとかバリバリ歌ったら、さぞ人気がでるだろうな。

ノルウェイ出身の人だが、1930年代にMETで彗星のように現れて、アメリカで世界的な名声を確立した人だったらしい。この肖像画の説明で、「当時、テノールのMelchiorとの名コンビによって多大な収入をMETにもたらし、METが30年代の大恐慌を生き残るのに大いに貢献した」とあるのが、この国らしくて微笑ましい。

それにしても、このコーナー、トスカニーニの胸像があったが、マーラーがないのは何故なのか。たしかリンカーンセンターのどこかには、あのロダン作のマーラーもあったはずなのだが。フラグスタートのように収入面で貢献しないとこのコーナーには置いてもらえないのか。

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