ペトレンコ・ベルリンフィル  モーツァルト交響曲第35番「ハフナー」

ベルリンフィルのデジタルコンサートホールが無料開放されている機会に、ペトレンコの公演をいくつか見る。

 

就任前の「悲愴」メインのプログラムの前半でやっていた「ハフナー」が非常にいい。しばらく前に、チェリビダッケが冒頭の主題の「レー(レ)レー、レ、ド、ド」の2回目のドをふわっと、デリケートにやっているのに感嘆していたら、まさにペトレンコが同じニュアンスでやっていた。

 

全体に、最近のHistorically Informed Perfomance(HIP)の路線ではあるが、音は痩せすぎず、かといって、アーノンクールみたいにトゲトゲしくもならず、自然でかつエネルギーのある良い演奏。

 

時々、あざといようなテンポの溜めを作ったりするが、それも嫌みにならない程度。

 

同じコンビのベートーヴェンの七番でも感じたが、ペトレンコは、この30年あまりのHIP路線が成熟した、まさにその演奏様式の終わりの最円熟期、あるいはその終わりの始まりくらいの位置に立っている音楽家という気がする。