ウィーン国立歌劇場ストリーミング 神々の黄昏

ウィーン国立歌劇場も無料ストリーミングが開放されていて、コロナ禍で中止となった演目の過去公演記録を流している。

 

今日は神々の黄昏が見れる。ジークフリートはグールド、ブリュンヒルがテオリン、指揮者はアクセル・コ―バーという人。

 

さすがに長いので、序幕と終楽章のジークフリートの死と葬送行進曲を拾い観しただけだが、グールドとテオリンはさすがの歌唱。特にテオリンの高域の声量(序幕の最後、ラインの旅に送りだすところの最後等)。ただ、ライブストリーミングで画質もよいので、劇場等でみるより細部まで容姿がはっきり映し出されるので、歌手にとっては厳しい時代だなとも思う。

 

演出は全体を観ていないので何ともいえないが、ジークフリートが死んだ後、横たわるのはゴンドラ。葬送行進曲に入るところで、グンターと家臣が同乗して、槍をゴンドラの櫂のように構えていた。おそらくベニスで客死した作曲家と関連があるのだろうが、狙いはよく分からない。

 

オケも含めた演奏全体は、ペトレンコと同じというか、一言でいえば、速いテンポでキリリと引き締まったモダンな演奏。コ―バーという人の指揮姿も、きりっとしていて、そういう音楽を志向していることがよく分かる。チェロとか金管とか個々のパートの分離が非常によく聴こえる。

 

葬送行進曲は途中以降、テンポが非常に速くなっていくパターンの演奏。個人的にはお祭り騒ぎみたいで好きではないが、しょっちゅう上演される舞台として割り切って考えると、この葬送行進曲も要は単に場面転換の音楽なので、毎回あまりじっとり重くやられてもということかもしれない。

 

他方で、ウィーン国立歌劇場のオーケストラの音って、特に弦は、もっと独特で、絹のような光沢の音だったような記憶があるが、随分変わった気がする。今日聴く音は、正確でくっきりして決して悪い音ではないが、他の普通の一流オケ(特にアメリカ等)と変わらない音のような感じで少しびっくり。もう少し、ローエングリーンの第一幕の前奏曲とか、ああいうシーンを聴かないと、何ともいえないが。