ジョナサン・コット「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」

バーンスタインの死の一年前に行われたロングインタビュー。原題Dinner with Lennyのとおり、バーンスタインコネチカットの別荘で午後3時前から真夜中過ぎまで、夕食を挟んで延々と続いた会話の録音テープを起こした記録。

もともとは1990年に「月刊朝日」にも転載された米ローリングストーン誌の短いインタビュー記事のための記録が、何らかの事情で2013年になって出版されたものらしい。

音楽面も含め、特に目新しい話、深い話はない。ただ、息子のような歳のインタビューアを相手に、無類の率直さで、ああでもない、こうでもないと語り続ける。

最後、午前2時半になり「もうお終いにしよう」と自分から言いつつ、ウィーンフィルと録音したベートーヴェン弦楽四重奏14番の弦楽合奏版のCDをかけ始めてしまうあたりの感じが何とも。かれこれ12~3年前の上司がこのタイプで、カラオケに行くとエンドレス。「もう帰らないと」とか言いつつ、いつの間にか、最後にもう1曲みたいなことになっている。始末に悪いが懐かしい。

というわけで、一般の方には全くお薦めできないが、バーンスタインのことが本当に好きな人に限っては、巨匠と飲みにいった気分になれるという意味で、お薦めの一冊。

 

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