ヴォツェック  2017.12.10

久しぶりにヴォツェックを聴いた。20世紀の産んだ、壮絶で陰惨なオペラ。メサイアの至福にのみ浸っていられない、神も調性も無くなった後の時代に生きることが幸か不幸か分からないが、この音楽の持つ凄惨な美しさは全く独自の魔力を持っていて、一度味わうと忘れ難いものがある。
二十代後半に初めてこのオペラを観た時は、ヴォツェックの苦悩ばかりが印象に残り、少し年上の友人の「マリーも苦しんでいる」という感想に納得がいかなかったが、今聴くと確かにそう思う。