ヴァインベルク交響曲・ミルガ・グラジニーテ=ティーラ

ヴァインベルクという作曲家、名前すら聞いたことがなかったが、聴いてみると素晴らしかった。

交響曲第2番は、弦楽器のみの編成で、冒頭は、ワーグナーのちょっと後、19世紀末くらいの調性感。ムード音楽のような感じでやわらかく始まる、純粋に綺麗で親しみやすい音楽。

後半の第21番はもう少し編成が大きくなり、ちょっとだけハード。ショスタコーヴィチっぽいが、それほどトゲトゲしくなくて聴きやすい。

雑な喩えだが、ショスタコーヴィチシマノフスキ―を線で結んで、ちょうどその間くらいな感じ。メロディアスだが、ラフマニノフチャイコフスキーみたいにドロッと重いメロディーではなくて、もっと透明で軽い感じ。豊潤というよりは淡麗辛口といった感じか。

21番は、Kaddishというタイトルどおり、ユダヤの一種の追悼音楽らしいが、最後の楽章で歌詞のないソプラノの哀歌がとりわけ美しい。

指揮はミルガ・グラジニーテ=ティーラという女流。世界的なスター指揮者のインキュベーターみたいになっているバーミンガム響の首席のポストに就任し、プロミスにもデビュー、Deutsche-Gramophoneアーティストにもなって、日の出の勢いといった感じか。

初めて聴く曲なので、曲自体、指揮者、オケのそれぞれの貢献度合いがよく分からないが、くっきりとして良い演奏と思った。

出身はリトアニア。先日亡くなったヤンソンスソ連世代だが、その後、ヤルヴィ、ネルソンスとバルト三国に根を持つスター指揮者がどんどん出てきている。バルトとジョージアは人口比で見て、著名なクラシック音楽家の出現率が異常に高いと思う。フィンランドも含めるとさらに多い印象。旧ソ連の辺境圏に位置していたことが何か影響しているのか。f:id:strassberger:20200921193647j:image