2019-01-01から1年間の記事一覧

「神々の黄昏」序章と第一幕  クナッパーツブッシュ・バイロイト(1958年)

大晦日の今日はクナッパーツブッシュの「神々の黄昏」。 いつも感じるのが、クナの指揮するワーグナーの独特の響き。圧倒的に分厚い低音の上にどっしりと構築された音。豊饒だが、カラヤン・ベルリンフィルやオーマンディ・フィラデルフィアのように磨き上げ…

マリア・カラスのクンドリ

先日、マリア・カラスのイゾルデを紹介したが、なんとカラスのクンドリという恐ろしいものが録音で残っているらしい。録音が随分悪いらしいのでただちに購入するのは躊躇われるが、試しにちょっと聴いてみたい。 https://tower.jp/item/4607873/%E3%83%AF%E3…

ティーレマン・ウィーンフィル ベートーヴェン 第5交響曲

もともとモーツァルトやベートーヴェンのピリオド演奏が嫌いで、モダン楽器のオーケストラでも、編成を小さくしてやっている昨今の風潮も気に入らないなか、ティーレマンはウィーンフィルでのベートーヴェンでも大編成でやっているので、一度聴いてみようと…

フェリアー・ワルター マーラー・大地の歌(1948年ライブ)

久しぶりにマーラーの「大地の歌」の終楽章「告別」を聴いた。フェリアーとヴァルターのコンビだが、48年のNYでのライブ。細かく聴き比べたわけではないが、名盤として有名なDECCAとのスタジオ録音と比べて、フェリアーの声がより清冽で、まっすぐ飛んでくる…

マリア・カラス  イゾルデの愛の死

カラスがイゾルデの愛の死を歌っている音源を発見。歌唱はごく常識的な感じだが、イタリア語で歌っているのが珍しい。ただ、あまり違和感を感じないのが意外。イタリア語は実に音楽的な言語で、大抵のメロディーに合ってしまうためか。 https://www.youtube.…

バーンスタイン ベルリン壁崩壊後のベートーヴェン第九

80年代といえば、最後の89年のベルリンの壁崩壊が忘れられないが、その年の年末には、第9の演奏史に残る東西のオーケストラ・合唱団を集めた「ベルリン祝祭演奏会」が開かれた。その名の通り、東西ドイツ、ソ連(レニングラードフィル)、米国(ニューヨ…

ショルティ・ノーマン・ロンドンフィル ベートーヴェン第九

you tube でいろいろな第九の演奏が載っているのでパラパラ見ていての印象。全体として、一昔前(80年代)くらいまでの演奏の方が個性的で、ユニークなものが多い。たとえば、ショルティが86年のプロムスでやったこれ。1:17:20からの大詰めのとこ…

内田光子 モーツァルト ピアノ協奏曲第27番

久しぶりに内田光子とテイトのコンビでモーツァルトの27番のピアノ協奏曲を聴いた。 以前、ユング学者の河合隼雄氏が「モーツァルトは、彼自身の音楽の犠牲者のような人です」という趣旨のことを言っていたが、すべての苦難を乗り越えて悟りの境地に入ったよ…

バーンスタイン、クリスタ・ルードヴィッヒ  マーラー大地の歌のリハーサル

アルトのクリスタ・ルードヴィッヒが、バーンスタインと「大地の歌」をやったときに、あまりにテンポが速くて歌詞がついていけないと文句を言ったら、バーンスタインから「どうせみんな(歌詞なんて)聞いていないから、どうでもいいんだ」というようなこと…

チェリビダッケ・ミュンヘンフィル ブルックナー 第九交響曲(リハーサル)

チェリビダッケがまだ元気だった91年のブルックナーの9番のリハーサルの貴重な映像。当時すでにドイツでトップクラスの水準になっていたミュンヘン・フィルを相手に、子供に噛んで含んで教えるように、細かな楽器のバランスやら、リズムやらを、いちいち…

ジョナサン・ノット・東京交響楽団 マーラー 第七交響曲

ちまたで評判のノットと東京交響楽団のマーラー。今回は第七番。 前半がベルク。オペラ「ヴォツェック」の一番緊迫した場面のような音楽が20分近く続くといった感じの非常に表出力の強い音楽。感心するとともに少しくたびれる。 メインのマーラー、とりわけ…

ニューヨークMETのフラグスタート

ニューヨークMETのロビーの地下にある「歴代、METに出演してきた音楽家の肖像・胸像」コーナー中のキルステン・フラグスタートの肖像。 20世紀前半の不世出のワーグナー・ソプラノとして名高いが、残念ながら、完全に盛りを過ぎた1952年のフルトヴェン…

小澤征爾・ベルリンフィル(ライブ)  ベートーヴェン・交響曲第七番

若い頃の小澤征爾がベルリンフィルとやったベートーヴェン7番(ライブ)。フィナーレ(29:30~)が途中から驚くほど速くなる(34:17あたり以降)。最後は、クライバーやフルトヴェングラーのライブよりも速く、凄い。本人はこの演奏の出来に不満だったというが…

オスカー・ワイルドの「サロメ」

オスカー・ワイルドの「サロメ」読了。この戯曲によるR.シュトラウスのオペラは、有名な「七つのヴェールの踊り」が、ぎんぎら銀の極彩色のストリップ音楽になっているが、戯曲原作では、そのシーンは、(Salome dances the dance of the seven veils.)との一…

シノーポリ・ウィーンフィル シューマン 交響曲第二番

近所の公立図書館の閉架書庫からアナログLPを発掘。 八十年代半ばに異常なくらい話題になったシノーポリの録音。精神科医の資格を持つ指揮者という話題をフルに活用したいというマーケティングでしょうか。指揮者本人による作曲家の精神分析の論文の訳まで…

映画「パルジファル」(1982年)

1982年製作の映画版「パルジファル」を見た。本作で特筆すべきは、事前に録音された音楽にあわせて、歌手とは異なる俳優が演技をしていること。近年は、大昔のワーグナー歌手のように声は立派だが、容貌はちょっとという人は減っているが、こういう映画だと…

小澤征爾・ウィーンフィルのシューベルト「未完成」

小澤征爾・ウィーンフィルのシューベルト「未完成」の演奏会の録画を観た。例の、指揮台でメータと一緒にワルツを振っていた演奏会のもの。 コントラバスも7本いる大きな編成の豊かな響きで、思いっきりゆっくりした演奏。 カール・ベームが最晩年に日本に…

マタチッチ・N響 ブルックナー交響曲第8番

マタチッチとN響のブルックナー8番の公演の録音(1984年)を聴いている。日本でのクラシック音楽演奏史上でも屈指の名演として名高い。細かいところはいろいろと荒っぽいが、何か、音楽の一番の本質のようなところを太い腕でグッとつかんで離さず、一気呵…

上岡敏之・新日本フィル・アンヌ=ケフェレック モーツァルト ピアノ協奏曲第27番

(2018年2月の書き込み(備忘)> 今週火曜日のNHKFMで、一昨年9月の上岡敏之さんの新日フィル音楽監督就任披露演奏会の録音が放送された。プログラムにはモーツァルトの27番の変ロ長調のピアノ協奏曲K595があった。 昔から、この曲の持つ…

三舩優子 ドビュッシー

(2018年3月の書き込み(備忘)> 昨晩は、三舩優子さんのオール・ドビュッシーのリサイタルへ。 白寿ホールのロビー・コンサートというのは、本当にこじんまりとした空間なので、ピアノ音楽を聴く上ではこの上ない環境です。ショパンやリストの時代の…

ポゴレリッチ 奈良での録画

<2018年3月の書き込み(備忘)> ポゴレリッチと言えば、いつも反抗期のティーネージャーのような不機嫌きわまる顔でCDジャケットに映っている青年というイメージがあったが、すっかり貫録のある中年になってしまった。こちらも歳を取ったので人のこと…

ハンス・スワロフスキー  N響 ザ・レジェンド

(2018年3月の書き込み(備忘)> 土曜夜のFM放送番組、N響ザレジェンドで、70年代初めのハンス・スワロフスキーの公演記録を聴いた。スワロフスキーはアバドやメータを育てたウィーンの名教師としてのみ知るだけで、演奏を聴いたことはなかったが、い…

リヒャルト・シュトラウス  チェロソナタ

リヒャルト・シュトラウスのチェロ・ソナタ。壮麗な交響詩やオペラとは違って、これもいい。 https://www.youtube.com/watch?v=L838Gfi8Hmw&feature=share&fbclid=IwAR3OHfkGgn1tv9VbSNUHAkVjt3D1KJHJv0Xdhmxh8CkRwrt1cAoz4mBm9kY

バーンスタイン・ベルリンフィル マーラー第九

レニー、ベルリンフィルの一期一会の演奏会でのマーラー9番。細かなミスも多いし、これが唯一絶対の解釈とは思わないが、うるさ型のクラリネット首席のライスターをして「我々は最後はバーンスタインの前にひれ伏した」と言わせしめた奇跡的な演奏記録が、4…

持続性と非日常性と

職業を問わず、プロたる要件は、まずは「持続的に結果を出せること、そうしたフォームを作り上げていること」だと思う。 たとえば電車やバスの運転といった仕事であれば、毎日間違いなくそれをそつなくこなすことが何より大事だろう。 その点、芸術やショー…

上岡敏之・新日本フィル ブルックナー第六番

(2018年4月の書き込み(備忘)> 昨晩は不意に上岡敏之指揮の新日フィルの演奏会へ。ピアニストにフランスの女流ケフェレックさんを迎えたモーツァルトの24番のコンチェルトとブルックナーの隠れた逸品「第六交響曲」と素晴らしいプログラム。 モー…

スヴェトラーノフ・チャイコフスキー悲愴

スヴェトラーノフの悲愴の三楽章。ソ連国立交響楽団の泥臭い、強烈なロシア臭たっぷりのブラスの音もいいが、この楽章がクライマックスに入るところで、「皆さんに任せたから、思いっきり好きなようにやってください」とでも言わんばかりに、手を下ろして、…

バーンスタインとランドール・トンプソン

この記事によれば、バーンスタインはカーティス音楽院でオーケストレーションをランドール・トンプソンに師事とあります。トンプソンは日本ではあまり知られていないように思いますが、不思議と心に染み渡るような合唱曲を書いている作曲家です。どちらかと…

マーラー・第五交響曲 NTTフィルハーモニー管弦楽団

(2018年6月の書き込み(備忘)> 今日は、家人の知り合いが出演するオケのコンサートへ。メインはマーラーの五番。 すっかり通俗名曲みたいになった感もあるが、改めて聴くと、実に苛烈で厳しい音楽だと思う。特に「嵐のように」との指定のある第二楽…

上岡敏之・ベートーヴェン 第九

第九を聴いてこんなにスリリングな思いをするのは本当に久しぶりのこと。特に四楽章。最初のオケのみのレシタティーボの異常な雄弁さ、有名な歓喜の歌のメロディーの四重唱での各歌手の弾けっぷり。クリスマスケーキや紅白歌合戦みたいな歳末の一風物詩にな…