交響曲第九番

ベートーヴェン第九(トスカニーニ)

同じベートーヴェンの第9でも、トスカニーニのように67分で演奏されるのと、クレンペラーのように82分もかかるのとで、全然印象が異なるわけですが、両方ともそれぞれ演奏芸術として成り立っているというところに、ベートーヴェンの作った音楽の幅広さ…

現代のベートーヴェン演奏

第9のシーズンだが、ここ30年くらいのつまらない最近の演奏の代表がこれ。ピリオド奏法等の影響もあるのだと思うが、小さくまとまっちゃって、上手いけど、あんまり面白くない。シャイーの指揮姿は、雄っぽくって華やかだけど、音楽が全然それに釣り合ってな…

バーンスタイン・ウィーンフィル ブルックナー第九

最晩年のバーンスタインの様子についての興味深いオーラルヒストリーを発見。このDVDのユーザーレビューの上から4つ目、宇野広報氏(このペンネーム!)のもの。 この方がブルックナーのビデオ収録に聴衆として立ち会った前後の出来事が記されている。 商品…

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1982年(ライブ録音))

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1982年(ライブ録音)) カラヤンのマーラー9番。1979年のスタジオ録音が優れていると思っているが、「1982年のライブ録音はそんなに悪かったかな」と不安になって、聴いてみた。 会社等の仕事でも、不慣れな分野を…

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1979年(スタジオ録音))

昨晩ノット・東響のマーラー・一番の映像を少し観たせいで、聴きたくなってしまったものだが、やはり、爽やかだが若く薄味の本年モノの白ワインのような「一番」ではなく、経年変化でこってり重く渋みにも欠けぬ赤ワインのような「第九」を選ぶ。マーラーの…

【バーンスタインのマーラー第九⑧】イスラエルフィルとのテルアビブ・ライブ

バーンスタイン、イスラエルフィルによるマーラー第9ライブのCDを聴いた。1985年8月25日テルアビブでのライブ。先般来、私が騒いでいる同じコンビの東京公演の約二週間前。高1の私がカメのように東京を這い回って入手した、アムステルダム・コンセルトへボ…

【バーンスタインのマーラー第九⑦】東大オケのマーラー第九(2)

東大オケのマーラー第九の話はまだ終わらない。その後、約10年後、ミュンヘンに滞在していたときに、演奏会場でしばしば会う日本人のSさんという知り合いがいた。私より少し年上だったが、私と同様、絵に描いたようなクラオタお兄さん。西洋史の専攻で、ミ…

【バーンスタインのマーラー第九⑥】東大オケのマーラー第九(1)

必死のパッチで入手したアムステルダム・コンセルセルトへボウ管弦楽団とのマーラーの第九のCD。当時一聴して何より驚かされたのは、その悠然たるテンポ。初演者のブルーノ・ワルターの演奏時間と比較すると一目瞭然。 ① バーンスタイン・コンセルセルトへ…

【バーンスタインのマーラー第九⑤】コンセルトへボウ盤入手の思い出

今回は例のイスラエルフィルの来日公演と同じ1985年録音(発売は1986年)の、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団との正規盤の日本発売時のパンフレット。 この「新マーラー・サイクル」開始、それも最高傑作の「第九」の発売というのは、遠い極東で高…

【バーンスタインのマーラー第九④】吉田秀和氏の演奏会評から。

吉田秀和氏が残した音楽についての膨大な評論から、クライバー、チェリビダッケ、バーンスタインについて書いた文章をまとめたものが河出文庫から出ている。 その中に、例の1985年のイスラエルフィルとの日本公演の演奏会評が収録されている。私が先般来騒い…

【バーンスタインのマーラー第九③】高関健氏の証言

カラヤンのアシスタントをしていた高関健さんへのインタビューで例のバーンスタインVSベルリンフィル演奏会について言及があった。 「あの歴史的なバーンスタインとベルリン・フィルとのマーラーの第9番も練習から全部見ました。あの時はすさまじかった。…

【バーンスタインのマーラー第九②】カラヤン執念の東京リハーサル?

徳岡直樹氏のオーラルヒストリー探求恐るべし。バースタイン・ベルリンフィルによるマーラー第9(1979年10月4,5日)に関連した追加情報。 (注)この話題に触れた徳岡氏の動画は、残念ながら徳岡氏のページがYoutubeからニコニコ動画に移転した際に消去され…

【バーンスタインのマーラー第九①】ベルリンフィルのトロンボーンはなぜ落ちた。

ここ1年くらいの間に、バーンスタンのマーラー第九についていろいろと書くことがあったので、順番に投稿したい。 仕事でもオーラルヒストリーの重要性を感じることが多いが、バーンスタインが生涯に一度だけベルリンフィルの指揮台に立った「伝説の公演」を…

クレンペラー エルサレム交響楽団 マーラー第9

「クレンペラー最後のマーラー第九」等、盛んに宣伝されている録音。この手の宣伝につられて買ってがっかりすることも多いが、これは本当に凄かった。 タワーレコードの宣伝等にもあるとおり、オケは技術的には非力さが目につくが、そういうものを超えた、と…

ペトレンコ・ベルリンフィル  ベートーヴェン 交響曲第9番

ベルリンフィルのデジタルコンサートホールが無料開放されている機会に、ペトレンコの公演をいくつか見る。 就任演奏会のメイン第九。 一言でいえば速くて引き締まった演奏。ベルリンフィルでいえば、アバドの全集の第九と基本的な骨格は非常に似ていると思…

ネルソンスのブルックナー ちょっと聴いてみての感想

今年のニューイヤーコンサートにも出演したネルソンスがゲヴァンドハウスのオーケストラと録音したブルックナーの第9交響曲の入ったセットをレコード店でつまみ聴きした。 ネルソンスは生で聴いたことはないし、ボストン交響楽団とゲヴァンドハウスのオーケ…

バーンスタイン ベルリン壁崩壊後のベートーヴェン第九

80年代といえば、最後の89年のベルリンの壁崩壊が忘れられないが、その年の年末には、第9の演奏史に残る東西のオーケストラ・合唱団を集めた「ベルリン祝祭演奏会」が開かれた。その名の通り、東西ドイツ、ソ連(レニングラードフィル)、米国(ニューヨ…

ショルティ・ノーマン・ロンドンフィル ベートーヴェン第九

you tube でいろいろな第九の演奏が載っているのでパラパラ見ていての印象。全体として、一昔前(80年代)くらいまでの演奏の方が個性的で、ユニークなものが多い。たとえば、ショルティが86年のプロムスでやったこれ。1:17:20からの大詰めのとこ…

チェリビダッケ・ミュンヘンフィル ブルックナー 第九交響曲(リハーサル)

チェリビダッケがまだ元気だった91年のブルックナーの9番のリハーサルの貴重な映像。当時すでにドイツでトップクラスの水準になっていたミュンヘン・フィルを相手に、子供に噛んで含んで教えるように、細かな楽器のバランスやら、リズムやらを、いちいち…