パルジファルと事業再生

イースター。昔、ドイツで何年か過ごした頃、厳しい冬を超えて、日が長くなってきた頃のイースターの喜びはひときわで、以来日本にいてもこの時期はワクワクする。

 

イースターといえばパルジファル。ドイツ語圏ではこの時期に上演されることが多いので、日本にいてもこの時期になると毎年、あの変化して止まない、玄妙なハーモニーに浸りたくなる。

 

最近は仕事で事業再生の話を聞くことが多いので、パルジファルの物語が、何やら事業再生前の破綻寸前の会社のように思えてくる。

 

聖杯騎士団は、コア技術の一つの聖槍を元従業員クリングゾルに持ち逃げされた破綻懸念会社。

アムフォルタスはやる気の無い二代目社長。創業者で父親のティトウレルや従業員である聖杯の騎士達から、祖業である聖杯の儀式を求められ、必死で抵抗するあたりは、経営難で混乱する会社そのもの。混乱する中、怪しい素性の女クンドリなども勝手に出入りする中、みな救世主が現れるのを待っている。

 

自分が最初に見たパルジファルの演出では、始まる前の幕に、Erlöser der Erlöser (救世主の救世主)とベタベタと書いてあるのが印象的だった。聖杯騎士団という、民を導き、救済する使命を帯びている集団が、まずは救済を必要としているということか。