大きいことは良いことだ?!

数日前に会った米国人の知り合いから、「お前も含む日本人の中高齢の男性は、なぜマーラーやらブルックナー 、ワーグナーやら、ドイツ後期浪漫派の大編成の音楽が好きなのか」と聞かれ、答えに窮した。「明治以来、ドイツの影響が強かったからかな」などと口…

パルジファルと事業再生

イースター。昔、ドイツで何年か過ごした頃、厳しい冬を超えて、日が長くなってきた頃のイースターの喜びはひときわで、以来日本にいてもこの時期はワクワクする。 イースターといえばパルジファル。ドイツ語圏ではこの時期に上演されることが多いので、日本…

バルシャイのモーツァルト

バルシャイと言えば、ショスタコーヴィッチの死者の歌とか、弦楽四重奏八番の弦楽合奏版といったハードで怖い音楽の専門家というイメージだったが、こんな素晴らしいモーツァルトも残していたとは。 全体のがっしりとした骨格はベームに似ているが、よく歌う…

上岡さん、二期会のモツレク

行ってきました。上岡さん、二期会のモーツァルトのレクイエムのコンサート。 圧巻の上岡流。超高速でありつつニュアンスに富む、清新なモーツァルトでした。マニアにはシューリヒトのよりシューリヒトらしいと言いたくなるような。 「呪われし者」の後半で…

藤田真央 カーネギーホールデビュー(23年1月)

(23年1月27日に書いた記事を収録します)。 ニューヨークタイムズの藤田真央のカーネギーホールでの演奏会評。 サブタイトルでは「独自の魅力はある演奏だが、根本的なところでは作曲家達とconnect できていない」と辛辣なことを書いていますが、何しろタイ…

ヱヴァンゲリヲン(新劇場版)とワーグナー

ここのところ、俄か「エヴァンゲリオン」ファンとなっていたが、今日、ようやく新劇場版4部作を見終わった。 繰り返しになるが、俄かファンなので、この複雑なストーリーを理解できたわけでは全くないが、自分が子供だった頃のアニメ(オリジナル・ガンダム…

上岡敏之指揮・新日本フィルのブルックナー交響曲第8番

上岡敏之さん・新日本フィルのブルックナーの第8番を聴きに行った。コンサートマスターは上岡番の崔文洙氏。 墨田トリフォニーホールもほぼ満席。この曲一曲だけという硬派なプログラムにも関わらず、よくこれだけ埋まったねと。上岡音楽監督時代はあれこれ…

藤田真央の演奏会(モーツァルト・ピアノ協奏曲21番、27番)

先週日曜日は、藤田真央を追っかけて、宇都宮まで、餃子も食べずに往復5時間強のところを行ってきました。モーツァルトの21番、27番のコンチェルトと、40番のシンフォニー。真央氏のピアノはそれを裏切らず素晴らしく、テレビやラジオで聴くのと同じまろやか…

2022年 バイロイト音楽祭

年末恒例のNHK-FMでの夏のバイロイト音楽祭のライブ録音放送。 以前に比べてバイエルン放送による録音が著しく改善していて解像度が高く素晴らしい音! 「神々の黄昏」を部分的に飛ばし聴きしたが、インキネンの替わりに登板したマイスターの指揮するオーケ…

ドヴォルザーク・チェロ協奏曲

ドヴォルザークのチェロ協奏曲。何となく昔から馴染んでいるせいもあって通俗名曲という感じがしてしまっていたのですが、19世紀後半に西洋音楽が達した異常な高みの一つを画するような作品であると実感します。 そんなに難解なものは何一つないのですが、・…

キャスリーン・フェリアー「きよしこの夜」

クリスマスソングは数あれど、結局のところ、「聖しこの夜」が一番好きだ。キャスリーン・フェリアーの温かく、深い声。 https://www.youtube.com/watch?v=M1_4Hie--UM&fbclid=IwAR2xT9htEKDgS7XXrZ3vQpJjaoHzfeN045q6JtgvpFf51uQ0OiG9ghGgO_A

大地讃頌と佐藤真

大地讃頌のオーケストラ版。やはり、本来は「カンタータ 土の歌」の第七楽章ということなので、オケ伴奏版の方がやっぱりいい。曲の終結部分で「母なる大地をああ」「讃えよ大地をああ」と繰り返すところの間で、ホルンが四本くらい揃ってシーラーソーファー…

ベートーヴェン第九(トスカニーニ)

同じベートーヴェンの第9でも、トスカニーニのように67分で演奏されるのと、クレンペラーのように82分もかかるのとで、全然印象が異なるわけですが、両方ともそれぞれ演奏芸術として成り立っているというところに、ベートーヴェンの作った音楽の幅広さ…

フルトヴェングラーのベートーヴェン第五

シャイーという現代を代表する巨匠のベートーベンをボロクソにこき下ろしたので、ちょっと不安になって、自分にとっての出発点だったフルトヴェングラーの5番をyoutubeで再確認。あながち見当違いなことを言っていたわけではないことが分かり、安心しました…

現代のベートーヴェン演奏

第9のシーズンだが、ここ30年くらいのつまらない最近の演奏の代表がこれ。ピリオド奏法等の影響もあるのだと思うが、小さくまとまっちゃって、上手いけど、あんまり面白くない。シャイーの指揮姿は、雄っぽくって華やかだけど、音楽が全然それに釣り合ってな…

フリチャイのこと

ハンガリー出身の指揮者フリチャイは、若くして白血病で亡くなったので随分昔の人のような気がしますが、1914年生まれということはショルティやジュリーニと同じ歳。仮に長生きしていれば、実演に接する機会があったのかもしれず残念です。録音がたくさ…

藤田真央のモーツァルト

数年前にNHKFMでやっていた、藤田真央とアンサンブル金沢のモーツァルト・ピアノ協奏曲20番の演奏会の録音を聴いた。 私ごときが今更言うまでもなが、藤田真央が凄い。古楽風演奏なのか、割とガサガサした音質のオケの前奏の後、ピアノが入ってくるや、…

カルロス・パイタ

指揮者カルロス・パイタについて、正面から論じ、評価する1981年頃のワシントン・ポスト紙の批評。 日本ではフルトヴェングラーのエピゴーネンとしてしか見られておらず、というより、今やほとんど忘れられているが、たとえば彼のベートーヴェンは、クライバ…

バーンスタイン・ウィーンフィル ブルックナー第九

最晩年のバーンスタインの様子についての興味深いオーラルヒストリーを発見。このDVDのユーザーレビューの上から4つ目、宇野広報氏(このペンネーム!)のもの。 この方がブルックナーのビデオ収録に聴衆として立ち会った前後の出来事が記されている。 商品…

バーンスタイン・コンセルトへボウ マーラー第四

バーンスタインの晩年のマーラー交響曲4番の録音を久しぶりに聴いた。世間では60年代にニューヨークフィルと入れた録音の方が評判が高く、晩年の全集の中ではこの録音はなぜか影が薄いが、改めて聴いて、ありとあらゆる表現をやり尽していて見事という他ない…

ジョナサン・コット「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」

バーンスタインの死の一年前に行われたロングインタビュー。原題Dinner with Lennyのとおり、バーンスタインのコネチカットの別荘で午後3時前から真夜中過ぎまで、夕食を挟んで延々と続いた会話の録音テープを起こした記録。 もともとは1990年に「月刊朝日…

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1982年(ライブ録音))

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1982年(ライブ録音)) カラヤンのマーラー9番。1979年のスタジオ録音が優れていると思っているが、「1982年のライブ録音はそんなに悪かったかな」と不安になって、聴いてみた。 会社等の仕事でも、不慣れな分野を…

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1979年(スタジオ録音))

昨晩ノット・東響のマーラー・一番の映像を少し観たせいで、聴きたくなってしまったものだが、やはり、爽やかだが若く薄味の本年モノの白ワインのような「一番」ではなく、経年変化でこってり重く渋みにも欠けぬ赤ワインのような「第九」を選ぶ。マーラーの…

【バーンスタインのマーラー第九⑧】イスラエルフィルとのテルアビブ・ライブ

バーンスタイン、イスラエルフィルによるマーラー第9ライブのCDを聴いた。1985年8月25日テルアビブでのライブ。先般来、私が騒いでいる同じコンビの東京公演の約二週間前。高1の私がカメのように東京を這い回って入手した、アムステルダム・コンセルトへボ…

バーンスタイン・インタビュー

1990年頃は月間ASAHIという雑誌があった。自分はこの雑誌の読者ではなかったが、この年の夏に来日するバーンスタインとのインタビューが掲載されたので買ったのだろう。日に焼けた切り抜きが手元に残っていた(インタビュアーはCottという米国の音楽評論家)…

【バーンスタインのマーラー第九⑦】東大オケのマーラー第九(2)

東大オケのマーラー第九の話はまだ終わらない。その後、約10年後、ミュンヘンに滞在していたときに、演奏会場でしばしば会う日本人のSさんという知り合いがいた。私より少し年上だったが、私と同様、絵に描いたようなクラオタお兄さん。西洋史の専攻で、ミ…

【バーンスタインのマーラー第九⑥】東大オケのマーラー第九(1)

必死のパッチで入手したアムステルダム・コンセルセルトへボウ管弦楽団とのマーラーの第九のCD。当時一聴して何より驚かされたのは、その悠然たるテンポ。初演者のブルーノ・ワルターの演奏時間と比較すると一目瞭然。 ① バーンスタイン・コンセルセルトへ…

【バーンスタインのマーラー第九⑤】コンセルトへボウ盤入手の思い出

今回は例のイスラエルフィルの来日公演と同じ1985年録音(発売は1986年)の、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団との正規盤の日本発売時のパンフレット。 この「新マーラー・サイクル」開始、それも最高傑作の「第九」の発売というのは、遠い極東で高…

【バーンスタインのマーラー第九④】吉田秀和氏の演奏会評から。

吉田秀和氏が残した音楽についての膨大な評論から、クライバー、チェリビダッケ、バーンスタインについて書いた文章をまとめたものが河出文庫から出ている。 その中に、例の1985年のイスラエルフィルとの日本公演の演奏会評が収録されている。私が先般来騒い…

【バーンスタインのマーラー第九③】高関健氏の証言

カラヤンのアシスタントをしていた高関健さんへのインタビューで例のバーンスタインVSベルリンフィル演奏会について言及があった。 「あの歴史的なバーンスタインとベルリン・フィルとのマーラーの第9番も練習から全部見ました。あの時はすさまじかった。…