フリチャイのこと

ハンガリー出身の指揮者フリチャイは、若くして白血病で亡くなったので随分昔の人のような気がしますが、1914年生まれということはショルティジュリーニと同じ歳。仮に長生きしていれば、実演に接する機会があったのかもしれず残念です。録音がたくさん残っているのが救いですが、モーツァルトのレクイエムなど、よく歌い、どこをとっても暖かく、かつ、瑞々しく、本当に素晴らしい演奏です。ドイツ・グラモフォンという会社は、50年代半ばから、クラシック音楽については、DECCAやEMIといったライバル社とのし烈な競争の中で、徐々に確固たる地位を気づいていきます。50年代に、カラヤンだけでなく、まだ若手の一人だったフリチャイと専属契約を結んでいるあたり、その選球眼の的確さが、その後の発展を支えたという感じがします。どの分野でも、物の本当の良し悪し、将来の可能性についての鑑定眼が、成功し、生き残っていく上での決め手のような気がします。

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