1990年頃は月間ASAHIという雑誌があった。自分はこの雑誌の読者ではなかったが、この年の夏に来日するバーンスタインとのインタビューが掲載されたので買ったのだろう。日に焼けた切り抜きが手元に残っていた(インタビュアーはCottという米国の音楽評論家)…
東大オケのマーラー第九の話はまだ終わらない。その後、約10年後、ミュンヘンに滞在していたときに、演奏会場でしばしば会う日本人のSさんという知り合いがいた。私より少し年上だったが、私と同様、絵に描いたようなクラオタお兄さん。西洋史の専攻で、ミ…
必死のパッチで入手したアムステルダム・コンセルセルトへボウ管弦楽団とのマーラーの第九のCD。当時一聴して何より驚かされたのは、その悠然たるテンポ。初演者のブルーノ・ワルターの演奏時間と比較すると一目瞭然。 ① バーンスタイン・コンセルセルトへ…
今回は例のイスラエルフィルの来日公演と同じ1985年録音(発売は1986年)の、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団との正規盤の日本発売時のパンフレット。 この「新マーラー・サイクル」開始、それも最高傑作の「第九」の発売というのは、遠い極東で高…
吉田秀和氏が残した音楽についての膨大な評論から、クライバー、チェリビダッケ、バーンスタインについて書いた文章をまとめたものが河出文庫から出ている。 その中に、例の1985年のイスラエルフィルとの日本公演の演奏会評が収録されている。私が先般来騒い…
カラヤンのアシスタントをしていた高関健さんへのインタビューで例のバーンスタインVSベルリンフィル演奏会について言及があった。 「あの歴史的なバーンスタインとベルリン・フィルとのマーラーの第9番も練習から全部見ました。あの時はすさまじかった。…
徳岡直樹氏のオーラルヒストリー探求恐るべし。バースタイン・ベルリンフィルによるマーラー第9(1979年10月4,5日)に関連した追加情報。 (注)この話題に触れた徳岡氏の動画は、残念ながら徳岡氏のページがYoutubeからニコニコ動画に移転した際に消去され…
ここ1年くらいの間に、バーンスタンのマーラー第九についていろいろと書くことがあったので、順番に投稿したい。 仕事でもオーラルヒストリーの重要性を感じることが多いが、バーンスタインが生涯に一度だけベルリンフィルの指揮台に立った「伝説の公演」を…
トルストイの「復活」を読了。幾つかの本と併読とはいえ数か月を要す。 そう簡単な感想を受け付ける作品ではないが、現在、我が国でも徐々に広がりつつある貧富の差、階級社会の広がりの中で、どう生きるかということについて考えさせられる。 小説として一…
バッハから本当の現代曲まで何でも聴くが、一番愛着を感じるのがブラームスやブルックナー、ワーグナーあたりからマーラー、R.シュトラウスを経て、シェーンベルクの初期(浄夜や弦楽四重奏第二番)あたりまでの音楽。 管や打楽器の刺激的な響き抜きの弦楽…
日本指揮界の期待の星、佐渡裕とトーンキュンストラー管弦楽団のブルックナー第八のCDが発売されるらしい。 https://tower.jp/article/feature_item/2021/03/11/1111... Spotifyで既に聴けるので聴いてみた。全体に高水準の演奏と思った。先般書いたジュリ…
しばらく前にラジオで聴いたピアニスト・藤田真央とN響と共演したシューマンの協奏曲の録画を観た。 藤田真央を映像で観るのは初めて。若いとは知っていたが、ルックスは本当に少年みたい。丸顔なところはスヌーピーに出てくるシュローダーみたいだが、もっ…
いつも書いているように、自分自身は音楽の演奏様式についてはウルトラ保守で、バロックもイムジチやミュンヒンガーのようにチェンバロ以外はモダン楽器でやってほしい派。 その意味で、オリジナル楽器でのバッハ演奏の大家、鈴木雅明氏というのはその名声は…
今日のFM放送、N響レジェンドは、スヴェトラーノフのマーラー6番。 この曲は、かつては、作曲家個人の悲劇と結びついた、禍々しい、聴く側にもとても覚悟を要求する曲だったし、演奏もショルティはじめそうした期待を裏切らないものばかりだったが、最近…
別のビデオですが、正確さに厳しかったヴァントは、なんと、手兵のNDR響相手に小学生でも相手にしているように、1,2,3と3拍も予拍を振って入っています。これなら絶対に間違えずに入れます。真のプロは格好つけずに、成果実現だけに集中することの…
有名なベートーヴェンの運命の出だしは、意外に入りずらく、とても難しい(アマオケだと結構ずれる)。 Youtubeで古今東西の名指揮者の冒頭部分の指揮ぶりを編集してくれた人がいたので、眺めていた感想。 ひょっとすると、ビデオと音声が編集のどこかの段階…
ジュリーニとウィーンフィルのブルックナー八番は、スタジオ録音されたCDが歴史的名盤として有名だが、その少し前のライブ録音はさらに凄い。 特にフィナーレの大詰め、Youtubeでいうと1:30:15過ぎ。「ラ、ファ―」というファンファーレをフォルテッシモで3…
80年代のバーンスタインの録音は大抵聴いているが、モーツァルトの39番は、80年代半ばに自分としての絶対的なベスト盤(ブルーノ・ワルターとニューヨークフィル)と出会って以来、ほとんど他の演奏に目が行かなかったため、未聴だった。 amazon primeやspot…
晩年のモーツァルトの音楽で恐ろしいと思うのは、ごく日常的な風景から一瞬で異次元の空間に連れて行かれるような感じがするところ。 この弦楽三重奏(KV563)もその典型。ハイドンのようなといってはハイドンに失礼かもしれないが、ごくありふれた古典音楽と…
6年ぶりに庄司紗矢香のヴァイオリンリサイタル、行きました。 日本到着後の検疫期間を経てのリサイタルだったそうですが、プログラムには本人が簡潔ながら作品への思いと静かな自信に満ちたメッセージ。 これまではメータやテミルカーノフ、プレスラーと言…
留学時代に聴いた懐かしのコンサートの音源を発見。 1996年の恐らく2月か3月だったと思うが、チェリビダッケ・ミュンヘンフィルのベートーヴェン・エロイカ。同じ演目で2~3回演奏会があったと思うが、この年の夏に亡くなるチェリビダッケの最後のシリーズだ…
トランプ大統領の一貫して野卑で女性蔑視的な態度については、ここ数年ずっと既視感があったのだが、「薔薇の騎士」のオックス男爵だった! ウィーン文化の髄とも言えるホーフマンスタールの台本によるだけに、あの態度というのは、残念ながら、当時のウィー…
コロナで暗いニュースが多い。クラシックの演奏会も、在外の指揮者・ソリストが来日できず中止・変更に追い込まれているものが多い。 ただ、よく見ると、そうした変更となった演奏会で、コバケン等の大御所に加えて、日本人の若手演奏家に活躍の機会が増えて…
クライバーとウィーンフィルのベートーヴェン第5の映像。第4、第7は色々な映像があるが、5番は初めて。 メキシコの放送局の映像。画像が古いのと演奏中にアナウンスが入るのが難だが貴重。1982年、クライバーもまだ若くて元気。この頃が全盛だったのかも…
1952年のフルトヴェングラーとローマ放送響の「神々の黄昏」第三幕。有名な1953年の指輪全曲録音のきっかけとなった演奏会の記録を聴いた。 途中までは緩い部分も多いが、大詰めのフラグスタートによるブリュンヒルデの自己犠牲はさすが。北欧の鋼鉄の声とい…
今後の人生でおそらくはあまり聴き返さないであろうCDを、ディスク・ユニオンで売却。 ディスク・ユニオンは、少なくともクラシック音楽のソフト(CD、アナログレコード等)については、日本国内最大の流動性を有する、セカンダリーマーケットである。 …
「クレンペラー最後のマーラー第九」等、盛んに宣伝されている録音。この手の宣伝につられて買ってがっかりすることも多いが、これは本当に凄かった。 タワーレコードの宣伝等にもあるとおり、オケは技術的には非力さが目につくが、そういうものを超えた、と…
Silvestrovはウクライナの作曲家らしいが、癒し系。ひたすら綺麗な音楽。 Silvestrov - Best of
ヴァインベルクという作曲家、名前すら聞いたことがなかったが、聴いてみると素晴らしかった。 交響曲第2番は、弦楽器のみの編成で、冒頭は、ワーグナーのちょっと後、19世紀末くらいの調性感。ムード音楽のような感じでやわらかく始まる、純粋に綺麗で親し…
超久しぶりに渋谷のタワレコ覗いて、面白半分に試聴したら、凄くて買ってしまった。入店した時は思いもよらない結果。 スターウォーズやジュラシックパークのテーマをウィーンフィルがやったら凄いことに。ブラスの輝き、弦の艶、楽友協会ホールの長い残響。…