【バーンスタインのマーラー第九①】ベルリンフィルのトロンボーンはなぜ落ちた。

ここ1年くらいの間に、バーンスタンのマーラー第九についていろいろと書くことがあったので、順番に投稿したい。 仕事でもオーラルヒストリーの重要性を感じることが多いが、バーンスタインが生涯に一度だけベルリンフィルの指揮台に立った「伝説の公演」を…

トルストイ「復活」読了

トルストイの「復活」を読了。幾つかの本と併読とはいえ数か月を要す。 そう簡単な感想を受け付ける作品ではないが、現在、我が国でも徐々に広がりつつある貧富の差、階級社会の広がりの中で、どう生きるかということについて考えさせられる。 小説として一…

ベートーヴェン 弦楽四重奏第14番(弦楽合奏版) バーンスタイン・ウィーンフィル

バッハから本当の現代曲まで何でも聴くが、一番愛着を感じるのがブラームスやブルックナー、ワーグナーあたりからマーラー、R.シュトラウスを経て、シェーンベルクの初期(浄夜や弦楽四重奏第二番)あたりまでの音楽。 管や打楽器の刺激的な響き抜きの弦楽…

佐渡裕・トーンキュンストラー管弦楽団 ブルックナー交響曲第八番

日本指揮界の期待の星、佐渡裕とトーンキュンストラー管弦楽団のブルックナー第八のCDが発売されるらしい。 https://tower.jp/article/feature_item/2021/03/11/1111... Spotifyで既に聴けるので聴いてみた。全体に高水準の演奏と思った。先般書いたジュリ…

藤田真央・N響 シューマンピアノ協奏曲

しばらく前にラジオで聴いたピアニスト・藤田真央とN響と共演したシューマンの協奏曲の録画を観た。 藤田真央を映像で観るのは初めて。若いとは知っていたが、ルックスは本当に少年みたい。丸顔なところはスヌーピーに出てくるシュローダーみたいだが、もっ…

鈴木雅明・東京交響楽団 シューベルト・交響曲第八番「グレート」

いつも書いているように、自分自身は音楽の演奏様式についてはウルトラ保守で、バロックもイムジチやミュンヒンガーのようにチェンバロ以外はモダン楽器でやってほしい派。 その意味で、オリジナル楽器でのバッハ演奏の大家、鈴木雅明氏というのはその名声は…

スヴェトラーノフ・N響 マーラー交響曲第六番

今日のFM放送、N響レジェンドは、スヴェトラーノフのマーラー6番。 この曲は、かつては、作曲家個人の悲劇と結びついた、禍々しい、聴く側にもとても覚悟を要求する曲だったし、演奏もショルティはじめそうした期待を裏切らないものばかりだったが、最近…

ベートーヴェン第五交響曲冒頭 聴き比べ番外編 ヴァント・NDR響

別のビデオですが、正確さに厳しかったヴァントは、なんと、手兵のNDR響相手に小学生でも相手にしているように、1,2,3と3拍も予拍を振って入っています。これなら絶対に間違えずに入れます。真のプロは格好つけずに、成果実現だけに集中することの…

ベートーヴェン 第五交響曲 冒頭 指揮者聴き比べ

有名なベートーヴェンの運命の出だしは、意外に入りずらく、とても難しい(アマオケだと結構ずれる)。 Youtubeで古今東西の名指揮者の冒頭部分の指揮ぶりを編集してくれた人がいたので、眺めていた感想。 ひょっとすると、ビデオと音声が編集のどこかの段階…

ジュリーニ・ウィーンフィル ブルックナー交響曲第8番(ライブ)

ジュリーニとウィーンフィルのブルックナー八番は、スタジオ録音されたCDが歴史的名盤として有名だが、その少し前のライブ録音はさらに凄い。 特にフィナーレの大詰め、Youtubeでいうと1:30:15過ぎ。「ラ、ファ―」というファンファーレをフォルテッシモで3…

バーンスタイン・ウィーンフィル モーツァルト交響曲第39番

80年代のバーンスタインの録音は大抵聴いているが、モーツァルトの39番は、80年代半ばに自分としての絶対的なベスト盤(ブルーノ・ワルターとニューヨークフィル)と出会って以来、ほとんど他の演奏に目が行かなかったため、未聴だった。 amazon primeやspot…

晩年のモーツァルトの音楽

晩年のモーツァルトの音楽で恐ろしいと思うのは、ごく日常的な風景から一瞬で異次元の空間に連れて行かれるような感じがするところ。 この弦楽三重奏(KV563)もその典型。ハイドンのようなといってはハイドンに失礼かもしれないが、ごくありふれた古典音楽と…

庄司紗矢香・オラフソン リサイタル(2020年12月13日)

6年ぶりに庄司紗矢香のヴァイオリンリサイタル、行きました。 日本到着後の検疫期間を経てのリサイタルだったそうですが、プログラムには本人が簡潔ながら作品への思いと静かな自信に満ちたメッセージ。 これまではメータやテミルカーノフ、プレスラーと言…

チェリビダッケ・ミュンヘンフィル ベートーヴェン交響曲第三番(1996年)

留学時代に聴いた懐かしのコンサートの音源を発見。 1996年の恐らく2月か3月だったと思うが、チェリビダッケ・ミュンヘンフィルのベートーヴェン・エロイカ。同じ演目で2~3回演奏会があったと思うが、この年の夏に亡くなるチェリビダッケの最後のシリーズだ…

トランプ大統領とオックス男爵(薔薇の騎士)

トランプ大統領の一貫して野卑で女性蔑視的な態度については、ここ数年ずっと既視感があったのだが、「薔薇の騎士」のオックス男爵だった! ウィーン文化の髄とも言えるホーフマンスタールの台本によるだけに、あの態度というのは、残念ながら、当時のウィー…

熊倉優指揮、藤田真央ピアノ N響演奏会(2020年11月14日)

コロナで暗いニュースが多い。クラシックの演奏会も、在外の指揮者・ソリストが来日できず中止・変更に追い込まれているものが多い。 ただ、よく見ると、そうした変更となった演奏会で、コバケン等の大御所に加えて、日本人の若手演奏家に活躍の機会が増えて…

クライバー・ウィーンフィル ベートーヴェン5番(1982年ライブ映像)

クライバーとウィーンフィルのベートーヴェン第5の映像。第4、第7は色々な映像があるが、5番は初めて。 メキシコの放送局の映像。画像が古いのと演奏中にアナウンスが入るのが難だが貴重。1982年、クライバーもまだ若くて元気。この頃が全盛だったのかも…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「神々の黄昏」第三幕(1952年)

1952年のフルトヴェングラーとローマ放送響の「神々の黄昏」第三幕。有名な1953年の指輪全曲録音のきっかけとなった演奏会の記録を聴いた。 途中までは緩い部分も多いが、大詰めのフラグスタートによるブリュンヒルデの自己犠牲はさすが。北欧の鋼鉄の声とい…

ディスクユニオンでのCD処分 プライシングの謎

今後の人生でおそらくはあまり聴き返さないであろうCDを、ディスク・ユニオンで売却。 ディスク・ユニオンは、少なくともクラシック音楽のソフト(CD、アナログレコード等)については、日本国内最大の流動性を有する、セカンダリーマーケットである。 …

クレンペラー エルサレム交響楽団 マーラー第9

「クレンペラー最後のマーラー第九」等、盛んに宣伝されている録音。この手の宣伝につられて買ってがっかりすることも多いが、これは本当に凄かった。 タワーレコードの宣伝等にもあるとおり、オケは技術的には非力さが目につくが、そういうものを超えた、と…

Silvestrov 癒し系の音楽

Silvestrovはウクライナの作曲家らしいが、癒し系。ひたすら綺麗な音楽。 Silvestrov - Best of

ヴァインベルク交響曲・ミルガ・グラジニーテ=ティーラ

ヴァインベルクという作曲家、名前すら聞いたことがなかったが、聴いてみると素晴らしかった。 交響曲第2番は、弦楽器のみの編成で、冒頭は、ワーグナーのちょっと後、19世紀末くらいの調性感。ムード音楽のような感じでやわらかく始まる、純粋に綺麗で親し…

ウィーンフィル、ジョンウイリアムスのアルバム

超久しぶりに渋谷のタワレコ覗いて、面白半分に試聴したら、凄くて買ってしまった。入店した時は思いもよらない結果。 スターウォーズやジュラシックパークのテーマをウィーンフィルがやったら凄いことに。ブラスの輝き、弦の艶、楽友協会ホールの長い残響。…

ワルター・ウィーンフィル 1948-1956 ライブ

日経の日曜版「名作コンシェルジェ」に、1950年代のウィーンフィルとの名盤が登場(モーツァルトの40番とレクイエム、マーラーの復活) 特にモーツァルトの40番は、冒頭の有名なメロディ(ミレレー、ミレレー、ミレレーシー)の最後の「レーシー」の部分で、…

レヴァイン・バイロイト ジークフリート第三幕

先日の続きで、ジークフリートの第三幕を聴いた。 冒頭のヴォータンとジークフリートの出会いの場面は、盛りを超えつつある中年あるいは初老の権力者と力を付けつつある若者の関係、あるいは父と息子の関係という意味で、普遍的なテーマだと思う。 我が国で…

朝比奈・大阪フィル ブルックナー全集(ジャンジャン版)

メルカリで、ジャンジャン版の朝比奈・ブルックナ―全集を入手。2000年頃にグリーンドア社が発売したもの。ディスクユニオンでは4万円以上の値が付いているものが4分の1程度の値段だったので良い買い物だと思う。 早速第四番あたりから聴き始めているが、…

レヴァイン・バイロイト ワルキューレ・ジークフリート

90年代半ばにFM放送で録音したレヴァイン指揮のバイロイトのワルキューレと、ジークフリートを途中まで聴いた。 レヴァインのはテンポがかなり遅く、良く言えば大らか、悪く言えば緩い印象を持っていたが、オーケストラは昔の巨匠のもののように巨大ではな…

アバド・ベルリンフィルのベートーヴェン交響曲第三番(1995年ライブ)

アバドの新旧のベートーヴェン交響曲全集(80年代半ばのウィーンフィルとのものと2000年前後のベルリンフィルとのもの)は、同じ指揮者のものとは思えないほど違いがあるが、いつ頃、演奏スタイルの変化が起きたのかに興味があった。 この1995年のエロイカは…

アルバン・ベルク 歌曲全集

最近Brilliant Classicsから出た、アルバン・ベルクの歌曲全集がよい。 特に、長らくあまり知られていなかった初期の歌曲(Jugendlieder)が初めて全曲録音されたということだが、これが1901~1908年の間で74曲あり、いずれも1~2分の大変短い曲ばかりである…

ウィーン国立歌劇場ストリーミング 神々の黄昏

ウィーン国立歌劇場も無料ストリーミングが開放されていて、コロナ禍で中止となった演目の過去公演記録を流している。 今日は神々の黄昏が見れる。ジークフリートはグールド、ブリュンヒルがテオリン、指揮者はアクセル・コ―バーという人。 さすがに長いので…