鈴木雅明・東京交響楽団 シューベルト・交響曲第八番「グレート」

いつも書いているように、自分自身は音楽の演奏様式についてはウルトラ保守で、バロックもイムジチやミュンヒンガーのようにチェンバロ以外はモダン楽器でやってほしい派。
その意味で、オリジナル楽器でのバッハ演奏の大家、鈴木雅明氏というのはその名声は知りつつも、一貫してスルーし続けてきた。
ところが、先日FM放送された東京交響楽団シューベルトの第八交響曲(いわゆる「グレート」)を聴いて唸った。
冒頭のホルン、そしてオーボエが主題を吹いた後の弦楽器のアンサンブルが、人数が少なくてピッチがきちんと合った奏者で演奏されると何とも美しい!
そういえば、去年の夏に新日フィルを新進気鋭の若手指揮者・太田玄氏が振った同曲も、同様に少人数の古楽演奏にインスパイアされた演奏だったが、特に第二楽章の弦楽アンサンブルの部分が美しかった(この演奏は最近CD化されている)。
もちろん、フルトヴェングラーベームの分厚い響きのロマンあふれる演奏への愛着は変わらないが、オルタナティブとして、鈴木氏や太田氏のような演奏もいいなと思った次第。
他方で、モーツァルトベートーヴェンでは、まだ、こういうHIP(Historically informed perfomance)で良いと思うものにあったことはない。