ネルソンスのブルックナー ちょっと聴いてみての感想

今年のニューイヤーコンサートにも出演したネルソンスがゲヴァンドハウスのオーケストラと録音したブルックナーの第9交響曲の入ったセットをレコード店でつまみ聴きした。

ネルソンスは生で聴いたことはないし、ボストン交響楽団とゲヴァンドハウスのオーケストラを使って、ブルックナーとかショスタコーヴィチとかの新譜を毎月のように恐るべきペースで出してくる超売れっ子指揮者というイメージしかない。結構評判にはなっているようだが。

そんな感じで、これまた、あまり期待もせず第9の始めだけかけてみたが、冒頭のニ短調の弦のトレモロの響きの分厚さに圧倒された。とりわけ、クレッシェンドしていく中で、特に低弦のトレモロが、たとえばラトルのベルリンフィルみたいに一人の奏者が弾いているようにピタッと揃っているというよりは、何となく微妙にズレがあるような感じで、それが却ってブォーンという響きになって、大げさに言えば、宇宙全体が共鳴しているような神秘的な印象を受けた。

ブルックナーの第九といえば、先般、上岡敏之=新日フィルの演奏会に行き、かなりユニークな解釈で面白いと思ったが、このゲヴァンドハウスの録音のような響き自体の物理的に圧倒的な力というのは残念ながら向こうの楽団に一日の長があるというか、おそらくは半永久的に埋まらないように思う。

楽器の質、奏者の体格、ホールの響きの特性が相まってああいうことになっているのか。誰か、物理的な音響の特性とかを、ブルックナーの第九の同じ部分を科学的に比較研究して、違いがどこから来るのか教えてほしい。

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