ジョナサン・ノット・東京交響楽団 マーラー 第七交響曲

ちまたで評判のノットと東京交響楽団マーラー。今回は第七番。

前半がベルク。オペラ「ヴォツェック」の一番緊迫した場面のような音楽が20分近く続くといった感じの非常に表出力の強い音楽。感心するとともに少しくたびれる。

メインのマーラー、とりわけ七番ということで、ベルクに比べると少し肩の力の抜けたロマンチックな音楽を期待したが、いい意味で期待を裏切られた。

ノットのは超快速テンポで、様々な楽器のパートソロを際立たせた、非常にメリハリのついた、鮮やかなマーラーだった。シューマンブラームスワーグナーブルックナーといったロマン派音楽の流れの先にある音楽というよりは、ベルクはじめ新ウィーン楽派の先駆けの音楽。ロマンチックというよりは、表現主義的な音楽。

第一楽章をはじめ、非常に高速テンポで進むノットに、しっかり応える東京交響楽団の合奏力にも感心。冒頭のテノールホルンをはじめ、金管木管のパートソロも安定感あり。

自分がマーラーを聞き始めた80年代は、マーラーでも第7番ともなると頻繁に取り上げられる演目ではなく、FM放送で聴く本場のヨーロッパのオーケストラのライブも合奏の精度は今日の演奏会のようなものではなく、細かなところは曖昧な感じの演奏が普通だったが、日本のオーケストラでもこんな精度の高い演奏が普通に行われるようになったことに改めて驚く。

 

https://tokyosymphony.jp/common/tso/images/pdf/concerts/tk11.pdf