上岡敏之のマーラー復活 新日本フィル演奏会(2019年3月31日、横浜みなとみらいホール)の感想

(2019年3月のコンサート感想)

 

横浜みなとみらいホールでの上岡敏之指揮・新日本フィルマーラー「復活」に行った。ほぼ満員でホッ。

予想通りというか、一筋縄ではいかない上岡流。とくに第二楽章の超快速テンポや、第三楽章その他での強烈なポルタメントその他、随所でユニークな部分があったが、最後の合唱が変ホ長調のフォルテッシモになってからの異常な高速テンポにはさすがに度胆を抜かれた。

この曲は自分が学生時代だった30年前は、日本のオーケストラが取り上げるのは特別な機会に覚悟をもって、所信を問うといった感じで構えて臨むといった感じがまだまだあった。

それがかれこれ15年前になるが、ダニエル・ハーディングが東京フィルを振っているのを聴いた時には、あたかもベートーヴェンブラームス交響曲をやるように、日常的なレパートリーとして、軽々と高水準の演奏をしているような様に新鮮な印象を受けた。本場欧州に追いついたという感じ。

ところが、今日の演奏ともなると、単に技術的に高水準とかいうことを超えて、全く独自でユニークな演奏になっていたと思う。たとえば、チェリビダッケミュンヘンフィルの演奏会というと、好みはあっても、誰もが認める独自の個性を持った音楽だろうということが期待されるが、それに近いというのか、上岡さんという音楽監督を得て、毎回、強烈に個性的な音楽を聴かせてくれることだけは確か。

今日もたくさんマイクが立っていたので、CDになるのだと思う。日本国内に限らず、欧米でも紹介されて、マイナーでもいいから、コアなファンが付くようになるといいのだが。