マーラー

バーンスタイン・コンセルトへボウ マーラー第四

バーンスタインの晩年のマーラー交響曲4番の録音を久しぶりに聴いた。世間では60年代にニューヨークフィルと入れた録音の方が評判が高く、晩年の全集の中ではこの録音はなぜか影が薄いが、改めて聴いて、ありとあらゆる表現をやり尽していて見事という他ない…

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1982年(ライブ録音))

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1982年(ライブ録音)) カラヤンのマーラー9番。1979年のスタジオ録音が優れていると思っているが、「1982年のライブ録音はそんなに悪かったかな」と不安になって、聴いてみた。 会社等の仕事でも、不慣れな分野を…

カラヤン・ベルリンフィル マーラー第九(1979年(スタジオ録音))

昨晩ノット・東響のマーラー・一番の映像を少し観たせいで、聴きたくなってしまったものだが、やはり、爽やかだが若く薄味の本年モノの白ワインのような「一番」ではなく、経年変化でこってり重く渋みにも欠けぬ赤ワインのような「第九」を選ぶ。マーラーの…

【バーンスタインのマーラー第九⑧】イスラエルフィルとのテルアビブ・ライブ

バーンスタイン、イスラエルフィルによるマーラー第9ライブのCDを聴いた。1985年8月25日テルアビブでのライブ。先般来、私が騒いでいる同じコンビの東京公演の約二週間前。高1の私がカメのように東京を這い回って入手した、アムステルダム・コンセルトへボ…

【バーンスタインのマーラー第九⑦】東大オケのマーラー第九(2)

東大オケのマーラー第九の話はまだ終わらない。その後、約10年後、ミュンヘンに滞在していたときに、演奏会場でしばしば会う日本人のSさんという知り合いがいた。私より少し年上だったが、私と同様、絵に描いたようなクラオタお兄さん。西洋史の専攻で、ミ…

【バーンスタインのマーラー第九⑥】東大オケのマーラー第九(1)

必死のパッチで入手したアムステルダム・コンセルセルトへボウ管弦楽団とのマーラーの第九のCD。当時一聴して何より驚かされたのは、その悠然たるテンポ。初演者のブルーノ・ワルターの演奏時間と比較すると一目瞭然。 ① バーンスタイン・コンセルセルトへ…

【バーンスタインのマーラー第九⑤】コンセルトへボウ盤入手の思い出

今回は例のイスラエルフィルの来日公演と同じ1985年録音(発売は1986年)の、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団との正規盤の日本発売時のパンフレット。 この「新マーラー・サイクル」開始、それも最高傑作の「第九」の発売というのは、遠い極東で高…

【バーンスタインのマーラー第九④】吉田秀和氏の演奏会評から。

吉田秀和氏が残した音楽についての膨大な評論から、クライバー、チェリビダッケ、バーンスタインについて書いた文章をまとめたものが河出文庫から出ている。 その中に、例の1985年のイスラエルフィルとの日本公演の演奏会評が収録されている。私が先般来騒い…

【バーンスタインのマーラー第九③】高関健氏の証言

カラヤンのアシスタントをしていた高関健さんへのインタビューで例のバーンスタインVSベルリンフィル演奏会について言及があった。 「あの歴史的なバーンスタインとベルリン・フィルとのマーラーの第9番も練習から全部見ました。あの時はすさまじかった。…

【バーンスタインのマーラー第九②】カラヤン執念の東京リハーサル?

徳岡直樹氏のオーラルヒストリー探求恐るべし。バースタイン・ベルリンフィルによるマーラー第9(1979年10月4,5日)に関連した追加情報。 (注)この話題に触れた徳岡氏の動画は、残念ながら徳岡氏のページがYoutubeからニコニコ動画に移転した際に消去され…

【バーンスタインのマーラー第九①】ベルリンフィルのトロンボーンはなぜ落ちた。

ここ1年くらいの間に、バーンスタンのマーラー第九についていろいろと書くことがあったので、順番に投稿したい。 仕事でもオーラルヒストリーの重要性を感じることが多いが、バーンスタインが生涯に一度だけベルリンフィルの指揮台に立った「伝説の公演」を…

スヴェトラーノフ・N響 マーラー交響曲第六番

今日のFM放送、N響レジェンドは、スヴェトラーノフのマーラー6番。 この曲は、かつては、作曲家個人の悲劇と結びついた、禍々しい、聴く側にもとても覚悟を要求する曲だったし、演奏もショルティはじめそうした期待を裏切らないものばかりだったが、最近…

クレンペラー エルサレム交響楽団 マーラー第9

「クレンペラー最後のマーラー第九」等、盛んに宣伝されている録音。この手の宣伝につられて買ってがっかりすることも多いが、これは本当に凄かった。 タワーレコードの宣伝等にもあるとおり、オケは技術的には非力さが目につくが、そういうものを超えた、と…

ワルター・ウィーンフィル 1948-1956 ライブ

日経の日曜版「名作コンシェルジェ」に、1950年代のウィーンフィルとの名盤が登場(モーツァルトの40番とレクイエム、マーラーの復活) 特にモーツァルトの40番は、冒頭の有名なメロディ(ミレレー、ミレレー、ミレレーシー)の最後の「レーシー」の部分で、…

マーラー 第五番 名盤 (メンゲルベルク・アムステルダムコンセルトヘボー)

マーラー5番のアダージェット。更に時代を遡って、1926年(昭和2年!)録音のメンゲルベルク=アムステルダム・コンセルトヘボーのSP録音だと、わずか7分5秒。 ポルタメントてんこ盛りで、今こういう風に弾くとすぐに指揮者から「ポルタメントやめてく…

マーラー 第五番 名盤 (ワルター・ウィーンフィル)

1938年(昭和13年)録音のBruno Walterとウィーンフィルのマーラーのアダージェット。 水色に透き通った空のような淡い音色なのは、戦前のウィーンフィル特有のものなのか、古い録音のせいか分からないが、近年では10~11分はかかるのが当たり前のこの楽章を…

上岡敏之のマーラー復活 新日本フィル演奏会(2019年3月31日、横浜みなとみらいホール)の感想

(2019年3月のコンサート感想) 横浜みなとみらいホールでの上岡敏之指揮・新日本フィルのマーラー「復活」に行った。ほぼ満員でホッ。 予想通りというか、一筋縄ではいかない上岡流。とくに第二楽章の超快速テンポや、第三楽章その他での強烈なポルタ…

フェリアー・ワルター マーラー・大地の歌(1948年ライブ)

久しぶりにマーラーの「大地の歌」の終楽章「告別」を聴いた。フェリアーとヴァルターのコンビだが、48年のNYでのライブ。細かく聴き比べたわけではないが、名盤として有名なDECCAとのスタジオ録音と比べて、フェリアーの声がより清冽で、まっすぐ飛んでくる…

バーンスタイン、クリスタ・ルードヴィッヒ  マーラー大地の歌のリハーサル

アルトのクリスタ・ルードヴィッヒが、バーンスタインと「大地の歌」をやったときに、あまりにテンポが速くて歌詞がついていけないと文句を言ったら、バーンスタインから「どうせみんな(歌詞なんて)聞いていないから、どうでもいいんだ」というようなこと…

ジョナサン・ノット・東京交響楽団 マーラー 第七交響曲

ちまたで評判のノットと東京交響楽団のマーラー。今回は第七番。 前半がベルク。オペラ「ヴォツェック」の一番緊迫した場面のような音楽が20分近く続くといった感じの非常に表出力の強い音楽。感心するとともに少しくたびれる。 メインのマーラー、とりわけ…

ニューヨークMETのフラグスタート

ニューヨークMETのロビーの地下にある「歴代、METに出演してきた音楽家の肖像・胸像」コーナー中のキルステン・フラグスタートの肖像。 20世紀前半の不世出のワーグナー・ソプラノとして名高いが、残念ながら、完全に盛りを過ぎた1952年のフルトヴェン…

バーンスタイン・ベルリンフィル マーラー第九

レニー、ベルリンフィルの一期一会の演奏会でのマーラー9番。細かなミスも多いし、これが唯一絶対の解釈とは思わないが、うるさ型のクラリネット首席のライスターをして「我々は最後はバーンスタインの前にひれ伏した」と言わせしめた奇跡的な演奏記録が、4…

持続性と非日常性と

職業を問わず、プロたる要件は、まずは「持続的に結果を出せること、そうしたフォームを作り上げていること」だと思う。 たとえば電車やバスの運転といった仕事であれば、毎日間違いなくそれをそつなくこなすことが何より大事だろう。 その点、芸術やショー…

マーラー・第五交響曲 NTTフィルハーモニー管弦楽団

(2018年6月の書き込み(備忘)> 今日は、家人の知り合いが出演するオケのコンサートへ。メインはマーラーの五番。 すっかり通俗名曲みたいになった感もあるが、改めて聴くと、実に苛烈で厳しい音楽だと思う。特に「嵐のように」との指定のある第二楽…

バーンスタイン生誕100周年  (ららら・クラシック)

NHKららら・クラシックでバーンスタインを特集した放送の録画を観た。30分の枠番組で生誕100周年というと、どうしても礼賛一辺倒になってしまうのは仕方がないとして、幾つか珠玉のエピソードもあった。 一つはN響の音楽監督のパーヴォ・ヤルヴィの語ったロ…

前橋汀子とココシュカ

最近バッハの2回目の無伴奏全曲アルバムを出したバイオリニストの前橋さんの日経私の履歴書から。稔り多くも過酷だったソ連留学時代の話も興味深かったが、今日は、なんと晩年のココシュカが登場。亡くなる前のアルマ-マーラーから「今でもあなたを愛してい…

インバル・都響  マーラー第七番

噂には聞いていたが、都響(東京都交響楽団)のマーラー、本当に上手い。 過去30年くらい、ベルティーニ、インバルといった手練れと何回もマーラーチクルスを回しているせいと思うが、マイナーな7番で、ここまでスコアを顕微鏡で覗き込んだような克明な演奏と…

テンシュテット NYPO マーラー・ライブ

今は亡き東独出身の名指揮者テンシュテットのマーラー。「壮絶ライブ」というと陳腐だが、これは本当に凄い。お酒の濃度でいうと間違いなく40度以上。ひょっとするとライターを近づけると引火するような奴に近いかもしれない。 テンシュテットはきっと大酒呑…

東京の美術展(クリムト)

今年は東京でクリムトに関連した大規模な展覧会が二つも開催された。こんなことは、ロンドンやニューヨークでもなかなかないのではないかと思う。 正直、ムスクの香りのように臆面もないリビドー剥き出しのクリムトが体質的に合う人が、日本人の間でそんなに…

ブルーノ・ワルターのライブ

東京ではたくさんコンサートやっているけど、あんまり行かないのは、何かと小忙しいのもあるけど、血が騒ぐというか、何が起きるか分からない、行かないと一生後悔するという感じが全然しないせいでもあります。固有名詞を挙げて申し訳ないけど、パーヴォ・…