バーンスタイン、クリスタ・ルードヴィッヒ  マーラー大地の歌のリハーサル

アルトのクリスタ・ルードヴィッヒが、バーンスタインと「大地の歌」をやったときに、あまりにテンポが速くて歌詞がついていけないと文句を言ったら、バーンスタインから「どうせみんな(歌詞なんて)聞いていないから、どうでもいいんだ」というようなことを言われたという話を読んだことがあったが、その衝撃的なシーンが映像で残っていたとは!

2分47秒あたりで、ルードヴィッヒがバーンスタインに「口が回らない」と喰ってかかる。バースタインはモゴモゴ言ったあと、結局は全く同じようなテンポでもう一回やる。今度は、辛うじて歌い切ったものの、ルードヴィッヒはふて腐れ、ふくれっ面をしているので、指揮者が音楽を停めて、近づいて行って、People dont't hear words anywayというようなことを囁いているのが見られる(3分45秒あたり)。

ルードヴィッヒは相変わらずふくれっ面。小さな女の子みたいでちょっと可愛い。バーンスタインは気まずくなったのをごまかすように「ハィッ」と意味不明なかけ声をかけて、また同じテンポでやる。意地である。

ここのYoutubeにはないが、これには本番の映像もあって、そこではルードヴィッヒもちゃんと歌っていたと思う。

バーンスタイングレン・グールドとは同様にテンポで意見が衝突し、コンサートでわざわざ聴衆に「このテンポに私は同意できない」と宣言して演奏を始めるというようなことをして、二人は二度と共演することはなかったが、ルードヴィッヒとはその後もバーンスタインが死ぬまで度々共演し続けているので、関係は悪くならなかったと思われる。

https://www.youtube.com/watch?v=SgSFjIoremU