フルトヴェングラー

フルトヴェングラーのベートーヴェン第五

シャイーという現代を代表する巨匠のベートーベンをボロクソにこき下ろしたので、ちょっと不安になって、自分にとっての出発点だったフルトヴェングラーの5番をyoutubeで再確認。あながち見当違いなことを言っていたわけではないことが分かり、安心しました…

カルロス・パイタ

指揮者カルロス・パイタについて、正面から論じ、評価する1981年頃のワシントン・ポスト紙の批評。 日本ではフルトヴェングラーのエピゴーネンとしてしか見られておらず、というより、今やほとんど忘れられているが、たとえば彼のベートーヴェンは、クライバ…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「神々の黄昏」第三幕(1952年)

1952年のフルトヴェングラーとローマ放送響の「神々の黄昏」第三幕。有名な1953年の指輪全曲録音のきっかけとなった演奏会の記録を聴いた。 途中までは緩い部分も多いが、大詰めのフラグスタートによるブリュンヒルデの自己犠牲はさすが。北欧の鋼鉄の声とい…

アバドの2つのベートーヴェン交響曲全集をどう評価するか。

最近、日本のアマゾン・プライムで、アバドが80年代後半にウィーンフィルと録音したベートーヴェンの交響曲全集が無料で聴けるようになったが、これが面白い。アマゾン・プライムでは、これまでも、2000年前後にベルリンフィルと入れた全集も無料で聴…

バレンボイムのベートーヴェン演奏への評価 2017 年秋のFinancial Times紙での論争

いささか旧聞に属するが、ベートーヴェン・イヤーで、バレンボイムがピアノ・ソナタの演奏会を各地でツアーしていることもあるので。2017年の秋のバレンボイムの75歳記念演奏会への評価をめぐって、英経済紙Financial Timesでちょっとした論争があった。 き…

ペトレンコ ベルリンフィル ベートーヴェン 第七番

ベルリンフィルのデジタルコンサートホールで、今、無料で聴けるペトレンコのベートーヴェン第七番。 このシャリシャリいう、しゃぶしゃぶにポン酢でもかけたような薄味の響きは、アバド 治世の後半以来のhistorically informed performance路線の延長線で、…

バレンボイムとベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏 (フランクフルター・アルゲマイネ紙寄稿)

バレンボイムがフランフルターアルゲマイネの文芸欄にベートーヴェンについて投稿していると思ったら、要は、自身が今度やるベートーヴェンのソナタ全曲演奏会のプロモーションのような文章。 それも、冒頭はあえてベートーヴェンではなく、バイロイトで初め…

ティーレマン・ウィーンフィル ベートーヴェン 第5交響曲

もともとモーツァルトやベートーヴェンのピリオド演奏が嫌いで、モダン楽器のオーケストラでも、編成を小さくしてやっている昨今の風潮も気に入らないなか、ティーレマンはウィーンフィルでのベートーヴェンでも大編成でやっているので、一度聴いてみようと…

ニューヨークMETのフラグスタート

ニューヨークMETのロビーの地下にある「歴代、METに出演してきた音楽家の肖像・胸像」コーナー中のキルステン・フラグスタートの肖像。 20世紀前半の不世出のワーグナー・ソプラノとして名高いが、残念ながら、完全に盛りを過ぎた1952年のフルトヴェン…

小澤征爾・ベルリンフィル(ライブ)  ベートーヴェン・交響曲第七番

若い頃の小澤征爾がベルリンフィルとやったベートーヴェン7番(ライブ)。フィナーレ(29:30~)が途中から驚くほど速くなる(34:17あたり以降)。最後は、クライバーやフルトヴェングラーのライブよりも速く、凄い。本人はこの演奏の出来に不満だったというが…

カルロス・パイタ ベートーヴェン 第五番

カルロス・パイタ指揮のベートーヴェン第五、重心が低い響きで、本当に素晴らしいと思う。べーレンライター版とか使って、小賢しくちゃかちゃかやっている最近の演奏より、自分はよほどこっちの方が好きだ。 一般的にはほとんど無名と思うが、このアルゼンチ…

フルトヴェングラー三昧

「フルトヴェングラー 三昧」という書名がいいと思う。仕事も遊びも「三昧」というくらい夢中にならないと面白くない。 http://blog-ocha-classic.diskunion.net/Entry/2906/?fbclid=IwAR1vutb8rYWXunsgMwYvLiWpMYddpiymHn0SGkx1C86fz2iRxXDPSsADOKQ

Naopingさんのブログ: フルトヴェングラー:スカラ座のワルキューレ

しばらく前にこの録音を聴いていましたが、"弦が泣き狂う"とは、全くうまいことを言うもんだと。 この方のブログ、文章もうまいし、内容も素晴らしいと思う。 ネット時代の恩恵で、いろいろな人の感想を読むのも楽しいもの。 http://naoping.cocolog-nifty.c…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「神々の黄昏」(1953年)

本年2周目の「ニーベルングの指環」(フルトヴェングラー・ローマ放送響)を聴き終えた。 今日は、「神々の黄昏」の第3幕の後半、非業の死を遂げたジークフリートの遺体がギービッヒ家の屋敷に戻ってきた後の場面。 ジークフリートの死をめぐって生じるギ…

フルトヴェングラー・ローマ放送響 「ジークフリート」「神々の黄昏」(1953年)

今日は、フルトヴェングラー・ローマ放送響の「指輪」の続き。「ジークフリート」の3幕の終わりと「神々の黄昏」の序幕と一幕の途中までを聴いた。 「ジークフリート」の第三幕では、ブリュンヒルデは、アンドロギュノス的な女神であり、抱擁に戸惑う乙女で…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「ジークフリート」(1953年)

今年2周目の「ニーベルングの指環」(フルトヴェングラー・ローマ放送響)の続き。「ワルキューレ」と経て「ジークフリート」の第二幕の終わりまで来た。 「ジークフリート」は、通常「ワルキューレ」に比べると少し人気が落ちると思うが、どうして、若さと…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「ワルキューレ」(1953年)

さっき聴き終えた「ワルキューレ」第一幕(Furtwaengler/RAI)の後半は、ジークムントとジークリンデの有名な愛の二重唱だが、単純に男女が会って「愛」が芽生えたというよりは、それぞれ長くつらい「冬」の時代を経て、とうとう「春」が訪れたというもの。 二…

フルトヴェングラー・ローマ放送響「リング」(1953年)

今日もしつこく「ニーベルングの指輪」。 今度は、1953年のローマ放送のオーケストラと放送用に録音したフルトヴェングラーの二番目の録音。これは、昔、ミュンヘンに住んでいたときに200マルク(1万4000円)くらいで買った。当時としては痛い出費だったが「…

フルトヴェングラー・スカラ座「神々の黄昏」第二幕、第三幕(1950年)

昨日の続きで、「神々の黄昏」の第二幕、第三幕を聴く。1950年のフルトヴェングラー・スカラ座のライブ。 やっぱりフラグスタートの歌唱が凄い。第二幕で、裏切りに激高して復讐を誓う場面は、この長い四部作の中でもとりたてて魅力的でない部分だけど、…

フルトヴェングラー・スカラ座「神々の黄昏」序幕 (1950年)

今日は、昨日の続きで「神々の黄昏」の序幕を聴いている。序幕の中の「夜明けとジークフリートのラインの旅」は、高校時代から特別な愛着を感じ、繰り返し聴いてきた場面である。 特に冒頭の空が微かにピンクに色づき始め、それが次第に力を増して、最後には…

フルトヴェングラー・スカラ座の「ジークフリート」(1950年)

いろいろな用務の間に1950年のフルトヴェングラー・スカラ座の「ジークフリート」を聴いていたが、ブリュンヒルデを歌うフラグスタートが凄かった。特に、第三幕の大詰め、Mir strahlt zur Stunde Siegfriedes Stern-----(今は(神々の栄光でもワルハラの威…

フルトヴェングラー リング  2017.11.12

昨日行ったコンサートのアンコールで、期せずして「ジークフリートの葬送行進曲」を聴いたことで、ワーグナー欲?が久々にむらむらと刺激されて、家族が出かけている昼の間、「ニーベルングの指輪」から拾い聴きをした。「ジークフリート」第3幕の大詰めと…

フルトヴェングラーのジークフリートの葬送行進曲

すべて60年以上前の古いものであるにもかかわらず、フルトヴェングラーの幾つかの録音は今でも魔力的としか言いようのない独特の魅力を持っていると思う。たとえば、1954年にウィーンフィルと入れたワーグナーの葬送行進曲のスタジオ録音。 以下のYoutubeで…

カラヤン最後の第九。呪縛からの解放

久しぶりにカラヤン、ベルリンフィルのベートーヴェン第九を聴いた。1984年録音で、この時カラヤンは76歳。この曲の正式な録音としては最後のものになる。頂点にあるもののみの持つ強さと輝きに満ちた77年の録音に比べると、84年の録音は随所にかすかな衰え…

内田光子の指揮者論

ウェッブで見つけた内田光子さんの指揮者論(雑誌インタビュー抜粋)が面白い。(なぜかリンクがブロックされてしまうが、「内田光子 指揮者論」でgoogleればすぐに見つかる)。 ワルターへの評価等、個人的には全く意見が異なる部分も少なくないが、たとえば…

「ニーベルングの指輪」(カール・ベーム、バイロイト)

ここしばらく、通勤途上に、ベームの「指輪」を聴いている。片道30分程度なので、二週間で四部作全部が聴く計算になる。 ベームの「指輪」をじっくり聴くのは、中高時代以来、約30年ぶりになるが、細部に至るまで、当時の記憶と感動がよみがえってくるよ…

ショルティ・シカゴのブルックナー8番。

ショルティ・シカゴのブルックナー8番のCDを久々に聴く。1992年発売。まだバブルの余韻が残るその年の今頃、新宿に飲みに行く途中に、小田急デパートのCDショップ(当時、クラシックもなかなか充実していた)で買った。ショルティ・シカゴというブ…