ティーレマン・ウィーンフィル ベートーヴェン 第5交響曲

もともとモーツァルトベートーヴェンのピリオド演奏が嫌いで、モダン楽器のオーケストラでも、編成を小さくしてやっている昨今の風潮も気に入らないなか、ティーレマンウィーンフィルでのベートーヴェンでも大編成でやっているので、一度聴いてみようと思っていた。

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今回、第五番のライブをあらためて聴いてみたが、残念。コントラバス8本の大編成からくるウィーンフィルの響きはさすがだが、何故か音楽に精気が感じられない。正統派風に堂々と進める第一楽章も真面目にやっているということ以上の印象は残らず。その後、第三楽章のトリオでの妙なテンポの溜めと加速、同様に第四楽章も冒頭溜めてその後急加速するが、これもさっぱり。

第四楽章の冒頭、ドーミーソーをゆっくり目にやって、その後、加速するというのは、かのフルトヴェングラーのライブでもあったものだし、80年代のアバドウィーンフィルの演奏でもあったが、それに比べて、ティーレマンのはよりテンポの切り替え幅は大きいのだが、与える印象はゼンマイ仕掛けの玩具が急にカタカタと走り出すようなチャチなものになるのは何故か。

同じウィーンフィルベートーヴェンだが、最近、ベームベートーヴェン全集を順番に聴いている。ウィーンフィルの響きが美しいことはティーレマンのものと変わらないが、ピシッとしまったリズムと和声、何よりも余計なところでテンポをいじったりせず、全体として実に自然で堂々とした音楽となっている。この全集は、田園以外は、今日ほとんど話題に上ることも少ないが、第三、第五は文句なく素晴らしいし、第七、第九はややベームの個性が強く出ている部分はあるものの十分楽しめる。第四、第八はこれまた細部まで底光りする巨匠の技が冴える。いつか詳しく紹介したい。

現代での大編成のベートーヴェン演奏としては、バレンボイムがいる。彼のも、フルトヴェングラーの凄みやベームのような完成度には至らないが、あれこれいじくりまわしたティーレマンのものよりは自然で、楽しめる。