バーンスタイン ベルリン壁崩壊後のベートーヴェン第九

80年代といえば、最後の89年のベルリンの壁崩壊が忘れられないが、その年の年末には、第9の演奏史に残る東西のオーケストラ・合唱団を集めた「ベルリン祝祭演奏会」が開かれた。その名の通り、東西ドイツソ連レニングラードフィル)、米国(ニューヨークフィル)等を集め、歌詞のFreude(歓喜)をFreiheit(自由)に置き換えて演奏されたもの。指揮は翌年亡くなるバーンスタイン。混成の団体なので演奏は粗っぽいが、この89年という、自由と平和への希望に満ち、将来への明るい展望にあふれた時代の香りを感じさせる演奏。

 

最近見たドキュメンタリーで、晩年のバーンスタインは世界中を飛び回るスケジュールにくたびれはてていて、本人が「もうレナード・バーンスタイン(であること)などやめてしまいたい」と駄々をこねている映像もあったが、それでも舞台に登場して聴衆から歓迎されそうな機会があると断れずに引き受けてしまうということの繰り返しだったようだ。とりわけ晩年の彼が誇りに思い、喜んで受けたのが、このベルリンの第九だったという証言があった。

https://www.youtube.com/watch?v=IInG5nY_wrU&fbclid=IwAR3acDEdqlDSMIVriNZ-6RdWORjmKCkp8XLyGwClahYGP4sq02_kFAf0BiQ