リヒタ―のバッハ・マタイ受難曲

大学の教養課程のドイツ語の授業で、バッハのマタイの解説本を読むというシュールな授業があった。レクラム文庫の本。中身はいかにもドイツの学者らしく、このフルートの下降音型はイエスの涙が溢れ落ちる様を描写したものであるとか、そういう記述が延々と続き、この手の音楽が好きな自分と、同志社の神学部修士から学士入学したツワモノ以外はウンザリという感じだったが。

その日の部分を順番に訳していった後、先生が「最後に今日の部分を実際に聴いてみましよう」と言ってかけていたのがおそらくこのリヒターの録音。埃っぽい教室の中で異常に清澄な音が舞っていた。

それにしても、ああいう世の流れと関係なく教員の好きなことに没頭するタイプの大学の授業も楽しかったと思う。

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