インバル・フランクフルト放送響  ブルックナー第九番 第四楽章

ブルックナーの第九交響曲の未完の四楽章を学者が補筆した録音を聴く。80年代にインバルがフランクフルト放送のオーケストラと録音したもの。

確かに構成、話声、オーケストレーションともブルックナーのスタイルでよく出来ているとは思うが、作曲者が完成した八番のフイナーレと比べると、本物のトラと張り子のトラくらい違うというのは、関係者には酷な言い方かもしれない。

テデウムは音楽の水準としてはバイエルン国王に捧げられた第七交響曲と同程度で、ブルックナーの音楽は、その後、ハプスブルク皇帝に捧げられた第八番、神に捧げる予定だった第九で献呈相手のレベルに合わせるかのように指数関数的に高みに達するので、第九のフィナーレの代替がテデウムではやや役不足であるのは事実。それでも空白を埋めるには本人が完成させた音楽の方がベターかと思う。