朝比奈・大阪フィル ブルックナー全集(ジャンジャン版)

メルカリで、ジャンジャン版の朝比奈・ブルックナ―全集を入手。2000年頃にグリーンドア社が発売したもの。ディスクユニオンでは4万円以上の値が付いているものが4分の1程度の値段だったので良い買い物だと思う。

 

早速第四番あたりから聴き始めているが、推進力・生命力があってよい。もちろん、冒頭のホルンの音色からして最近の日本の楽団に比べても劣るし、トゥッティのところの迫力も限界はあるが、活き活きとしたエネルギーにあふれていて、良い音楽を聴いたという感銘が残る。

 

最近の演奏は、この朝比奈全集よりもオケの音色や精度でははるかに上でも、どことなく神経質な女性が顔のシミを完璧にカバーするメークに全ての心血を注いだ結果、綺麗だが人間味のない能面のような顔になりました、みたいなものも少なくないと思う。典型はヤルヴィとかシャイ―あたり。ヤルヴィはフランクフルト放送響との録音だけでなく、N響とのブルックナーでも完全にそういう世界を実現していて、その手腕は本当に凄いと思うが、そういうのはラヴェルとか、もともとその種の人工美を目指している作品でやってほしいと思う。シャイ―も、指揮姿はオスっぽく格好がいいが、聴こえてくるのはメークばっちり美音+生命力の欠如したトボトボとした音楽という印象。

 

それよりは、そろそろ半世紀近く前になる、この朝比奈・大フィルの全集は人間の顔をしていて悪くない。